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駆け出し能楽師の奮闘記
敷居が高いと思われがちな能楽の世界を、能とは関係のない家から飛び込んだ私・中村昌弘の奮闘を通じて少しでも身近に感じていただけたらと思います。

誓願寺

昼間出稽古のあと研究会へ。
今日は「誓願寺」のシテ、「鍾馗」「鉄輪」「野守」の地謡を勤めました。

「誓願寺」は半能だったのですが、これが非常に大変。
公演で丸能でやるとなれば、少なくともあと15年はお許しがでないであろう本三番目の重い曲です。
和泉式部の霊がシテで、内容は平たく言えば一遍宗礼賛の曲なのですが、詞章は仏教用語が並び難解で、位が非常にシッカリです。

さて舞ってみた結果…。
やっぱしひじょーに難しかったです。
出端のアトの拍子合わずの謡が習いになっていて、これがなかなかはまりませんでした。

謡には大きく分けて拍子合と拍子の2種類があります。
これは簡単に言うと囃子方が打つ楽器のリズムに合うか合わないかなのですが、不合だからといって好き勝手謡っていいかといういうとそうではないのです。
不合の謡を謡いながら、ポイントポイントで囃子の手を聞きつつ合わないながらかみ合っている状態にならねばなりません。
今日もなかなか自分の思惑どおりいかず大変でした。
きっと自分の謡いたいように囃子を打たせ、かつ囃子方からみても自分の打ちたいように打てる状況というのが理想なのでしょう。
まだまだ力不足です。

でも最近こういう曲もつけていただけるようになったというのは、よくとれば「まぁ、コイツにつけておけばなんとかなるだろ」ということなので、期待に応えられるよう一番一番必死に勤めなければなりません。
この曲が決まって2ヶ月ほど心の片隅にずーっと引っかかっていたのですが、その意識の甲斐あってか師匠や先輩からは「よく舞ってたね」と言っていただけました。

「鉄輪」は師匠が地頭。
これは本当に楽しかったー!
夫を奪われた妻が、浮気した夫とその愛人を呪い殺そうとするというかなりエグイ曲ですが、ものすごく謡い甲斐のある曲です。
やっぱり師匠が地頭するとスゴイ。
一体感が生まれるというか、地謡の一員として謡っていてもとっても謡いやすいし、縦横無尽に膨らましながらもリズムを崩さないので囃子方からも信頼が厚いのです。
僕も一句ごとに息を使い切って、お腹がぺったんこになるのを感じながら目一杯謡いました。
終わったあと小鼓の方から師匠に「楽しませていただきました」という声も。
来週の月曜日が本番。
あ~、楽しみ♪
(って、お客さまより舞台の人間が楽しんじゃダメかも…)


家に帰って緊張が解けたら、どっと疲れが出てきました。。。

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  1. 2005/10/04(火) 23:50:02|
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ツレの同吟

ここのところバタバタとしていて更新が滞ってしまいました。

日曜日は金春会
「紅葉狩」のツレでした。
申し合わせのときに女構え(右手を体にひきつけ左手を張った構え)と、謡の注意をいただいたのでその点が課題でした。
構えについては気を配ったつもりですが、謡のほうはイマイチでした。
同吟のゆったりした謡というのは本当に苦しい。
息も絶え絶えになってしまい、ツレとして調和のある地謡を謡えたかどうかというとちょっと課題の残る舞台となってしまいました。

こうした謡がなぜ苦しいか。
同吟の場合はシテに高さや位をシテに合わせなければならず、自分の間合いで謡えないのが最も大きな原因だろうと思います。
しかし、それなら地謡も辛いはず。
地謡との違いは立っているか座っているか。
立っているときの姿勢にも問題があるのかもしれません。
来年「高砂」や「氷室」のツレといった同吟のツレが控えているので解決しておかねばならない課題となりました。

今回もう一つ苦しい経験をしました。
鬘の紐をきつく締めすぎたこと。
前の曲でみんな出払ってしまったため、順番につけることとなり、僕はかなり早い時間に装束を着けてもらいました。
ちょっときついかなと思っていたのですが、まあ大丈夫というくらい。
でもいざ幕に立ったあたりで、あたたという感じになってしまいました。
謡が終わって下に居るときにはかなりつらくなり、足の痺れは大丈夫だけど、立った途端にふらつかないか心配でした。
なんとか無事立ち上がって帰れたものの(ツレの立ち上がるタイミングがずれてしまいましたが)、これも今後注意しなければなりません。



  1. 2005/10/04(火) 00:40:57|
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