fc2ブログ

駆け出し能楽師の奮闘記
敷居が高いと思われがちな能楽の世界を、能とは関係のない家から飛び込んだ私・中村昌弘の奮闘を通じて少しでも身近に感じていただけたらと思います。

薪能2日目

2日ともかなりの高確率で雨という予報のなか、薪能は奇跡的と言っていいほどの確率で両日とも開催することができました。

2日目は師匠の「井筒」
天候は危なかったものの、今度はクセを入れての上演でした。
やっぱり井筒はクセを謡っておかないと。
居グセ(舞グセに対してシテはじっとしたまま謡を聞かせる演出方法)でもあり、業平と紀有常の娘とが結ばれるいきさつを語るこの部分は、この曲最大の聞かせどころでもあるのです。
やっぱりクリ・サシ・クセを抜いていきなり“げにや古りにし物語。聞けば妙なる有様の~…”だと、意味が通じなくなっちゃいますしね。

「井筒」という曲は本三番目物を代表する非常に難しい曲ではありますが、「伊勢物語」の有名な箇所を取り上げたなじみのあるストーリーである上、雰囲気が非常によいため薪能などイベント的な催しでもよくとりあげられます。
そのまま上演すると確実に1時間半を超えてしまうため、だいたい短縮型で上演となってしまうのが実情ですが、やはり薪能の雰囲気にはよく合います。
一番の見せ場である“業平の面影”と業平の形見の衣装をまとった自分の姿を井戸の水面に映す場面。
動きが止まり音のない空間に包まれる…。
静寂の雄弁さというか、これこそが能の醍醐味ではないでしょうか。


さて鎌倉薪能は一曲が金春流、もう一曲は他流の能が演じられます。
今年は「是界」で観世流(観世流は「善界」と表記)と喜多流でした。
初日の観世流は銕仙会の方だったのですが前場に面(怪士?)に黒頭といういでたちでした。
この曲は7月にツレを勤めたこともあり両日ともじっくり拝見させていただきました。


スポンサーサイト





  1. 2005/10/09(日) 23:05:59|
  2. 舞台|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:0

鎌倉薪能初日

今日から鎌倉薪能

毎年10月8・9と行われる催しで、今年で47回を数える関東では最も古い歴史をもつ薪能です。
会場は大塔宮(鎌倉宮)。
もーーーのすごく雰囲気がいいです!!
鎌倉の街からちょっと離れているため静かで、周りは森、聞こえるのは虫の声…。
そんな環境なのです。
僕も小さい頃「舟弁慶」の子方として、家元・師匠のお父様とご一緒に舞台に立たせていただきました。

そんな薪能も去年は、その年一番の大型台風に祟られ、朝9時に中止が決定してしまうという残念な結果に終わってしまいました。
今年も天気予報は軒並み雨。
昼に東京を出発したときも雨。
でも、
奇跡的に天気が回復!!
無事薪能はできました。
ただしいつ降ってもおかしくない状況だったので、「井筒」はクリ・サシ・クセ抜き。
「井筒」ってなんといってもクセが一番聞かせどころなので、ちょっと欲求不満。
ま、天気がこうだったらしょうがないですわな。

いつも終わる頃は凍えるほど寒いのに、今日は汗だくだく。
のぼせたか鼻血まで出ちゃうし。。。

帰りは師匠にグリーン車の券をおごっていただき、はるばる関西からいらした師匠のお父様のお弟子さん(小さい頃からかわいがっていただいてるおばあちゃんのような方)にビールをおごっていただいて帰りました。


明日はすっきり晴れるといいな。



  1. 2005/10/09(日) 00:26:23|
  2. 舞台|
  3. トラックバック:2|
  4. コメント:0
 ∥HOME