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駆け出し能楽師の奮闘記
敷居が高いと思われがちな能楽の世界を、能とは関係のない家から飛び込んだ私・中村昌弘の奮闘を通じて少しでも身近に感じていただけたらと思います。

「吉野静」

昨日申し合わせがあった「吉野静」の本番でした。
以前に研究会で舞ったときにも書きましたが、シテは静御前、ワキは佐藤忠信と歴史上比較的有名なキャラクターが登場するわりに遠い(上演頻度頻度が少ない)曲です。

遠い理由は節回しがちょっと妙なのと、舞が窮屈だからというのが理由かと思っていましたが、謡は謡い込んでみるとそれほど違和感を感じませんし、舞も実際舞ってみるとなかなか面白いところもあります。
ではなぜか?
能としてみてみると一つの要因が見えてきました。

それは装束。
シテは前半が終ると一度幕に入り、後半の装束を着替えて出てくるのですがこの時間が短い。
今日は10分弱ありましたが、過去6分ということもあったそうです。
唐織着流しから長絹大口姿(今日は前半が壷折腰巻姿だったので脱ぐのにもう一手間掛かったはずです)に短時間で変えねばなりません。
長絹大口はそんなに着付ける手間は掛かりませんがそれでも短時間で着付けるのは後見にとってはプレッシャーです。

この曲はワキも着替えます。
ワキはさらに短く5分ありませんでした。
特にこのワキは舞台に入るのが遅れてしまうと物語が展開しなくなってしまうので大プレッシャーです。
ワキ方の楽屋働きは普段1人なのですが今日は2人入っていたのもうなずけます。
シテもそのあたりを酌んで、中入の際ゆーっくりと橋掛りを歩いていきましたが(ワキが先に中入しています)それでも時間は終わったあとのワキ方のお話だと時間はギリギリだったそうです。
(ちなみに中入せずに後見座に居るという演出もあるそうです)

結局上演時間は80分。
ストーリーのボリュームから考えると意外に長くかかったな、という感じでしたがご覧になった方はどう感じられたのでしょうか??

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  1. 2006/05/10(水) 21:37:17|
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