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駆け出し能楽師の奮闘記
敷居が高いと思われがちな能楽の世界を、能とは関係のない家から飛び込んだ私・中村昌弘の奮闘を通じて少しでも身近に感じていただけたらと思います。

むかしおとことむしおとこ

宅稽古、出稽古のあと夕方は催しへ。
ここ数年何度かお邪魔させていただいている二木屋薪能へ。

去年も記事を書きましたが非常に雰囲気のいい舞台です。
今年は5回公演の予定が追加公演が出るほどご盛況とのこと。
僕も今日を含め3日お伺いさせていただくことになりました。

曲目は半能「井筒」
シテは師匠をはじめ先輩方4人で交代で。
舞台の規模が小さめなので地謡は4人編成、後見は1人でおこないます。
今日の僕のお役は後見。
そう、一番不得手とする役です。

舞台上の作業は作り物の出し入れ、序ノ舞の前にシテの袖をととのえるくらい。
もちろんシテにもしものことがあれば代わりに舞わなければなりませんが、今日シテをされる師匠は「まぁ何があっても最後まで舞いきるよ」とのことでこちらは安心でした。

さて出番。
シテはお客さまの目の前の廊下を装束を着けた状態で通り、面・初冠のみ鏡の間的な場所(実際には幕もありません)でつけます。
先輩がつけて下さることになっていたのですが、立った位置的に僕が面をつけることに。
僕のぶきっちょぶりは師匠もよーーーーくご存知で「だ、大丈夫?」と少々心配なご様子。
鬘を引き出して紐を締めてこれでOK!と思いきや、「ここたるんでる」と師匠。
締め直し…。
あとで聞くところでは陥りやすい典型的なミスだそうで、「ここで失敗しとけば、今度は大丈夫」と慰めていただきました。。。

地謡・囃子方が着座すると作り物の運び出し。
これも重要な所作です。
正面の目と鼻の先といったところにお客さまが座っていらっしゃるので普段と勝手が違います。
普通舞台ギリギリに出すのですが、最前列の方には圧迫感があるかと思い少し後ろに置きました。

置くともう一度鏡の間に戻りシテが出るまで待機。
ワキの謡がしばらくあり、シテの出となる一声の囃子が始まりました。
普通後見は出る前にシテの前後ろにまわって装束に乱れがないかを確認するのですが、非常に暗い上、場所も狭いので前のみ確認。
変則的に一箇所曲がってシテがいざ橋掛りに出ようとしたとき、舞台からの光に照らされて肩のあたりにキラッと光るものが。
鬘帯が肩にかかっていてしまったのです。
こりゃいかん!とすぐ修正。
幸い橋掛りに入る直前だったのでギリギリセーフでした。
ほっ。

切戸口がないので後見も橋掛りから出ていき(特設舞台ではよくあります)後見座に着座。
舞台は順調に進み、最大の見せ場「見ればなつかしや」と井戸を覗きこむ場面も終わり、そろそろお終いといったところで首の周りに違和感が。
後ろに下がりすぎて松の葉が当たっているのかな?と思いましたがなにやらうごめいているような…。
左のほうからズズズーっと右のほうに動いていって、気持ち悪いことこの上ないのですが手で払うことはもちろん表情を変えることも許されません。
井戸に映るは昔男、後見座には虫男。
1分ほどウネウネ這い回って僕の右膝の上に落ちてジージーもがき、後で聞いた話だとその後シテの両足の間を通るという荒業をやってのけたそうです。
なんともはた迷惑な虫だこと。
でも飛び交う虫も野外の催しの趣のひとつ。
舞台に立つ者としてはこの程度は我慢しなくちゃいけません。

終演後はお店からビールとおつまみをいただきました。
どれもこれもとーってもおいしいものばかり。
更にこの後とんでもなくおいしい日本酒まで!
飲みやすいのでクイクイいってしまったのですが、いざ帰ろうと立つと思いのほかフラフラになっていました。
新宿で師匠や先輩と別れたあと小田急線に乗るなり眠ってしまい、はっと起きたら降りる駅。
閉まりかけの扉に挟まれかけながらなんとか降りられました。
車掌さんごめんね。

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  1. 2006/09/30(土) 23:57:14|
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華やかさ

この前の「黒塚」のDVDが出来上がってきました。

見た感想…
華がない

ちいさい、というのかキレがないというのか。
なんかこうパァァァ~っとした感じがない。
全体的にうつむき気味だったというのもその要素ではあると思うのですが、もっと根源的に動きの部分で。
来年舞う予定の「胡蝶」は華やかさがないともうただ眠いだけになってしまうので、これはよーく肝に銘じて稽古していかないと。


さて今日。
朝床屋さんへ。
お店の入り口にどっかとスモークを張った白い車。
入ってみると誰のものか一目瞭然。
チョイワルを超えて明らかに若い頃はっちゃけちゃってたろうなと思えるあんちゃんがいました。
僕の座った席はブロックが別だったので最初はグーグー眠っていたのですが、そのうちに
「このラインがなぁ」と母音に不必要なアクセントをおく独特の大きな声が響いてきました。
声の主はもちろん例のあんちゃん。
髪型に相当なこだわりがあるらしく「ライン」を連呼していました。
帰りがけそちらに目をやると、鏡を前に自分でヘアスプレーとブラシを持って調えています。
なるほどこめかみのあたりにくっきりとラインが。
その後ろで、今度は「ノゲイラはなぁ」と一人火のついちゃった格闘技話に適当に相槌を打ちながら立ち尽くしている店員さんの姿が印象的でした。。。

その後実家、国立とお決まりルートとなりつつあるお稽古コース。
大鼓は「七騎落」
割と無難にいき、来月はあまり出られそうにないのでもう一曲、「盛久」も。
手的にはそうミスはなかったと思うのですが、コイ合とか地といった基本的な手の細かい打ち方を改めてしっかり教えていただきました。

こちらの先生、稽古は厳しいのですが、笑うと目がキラキラされて(ちょっと失礼ながら)とってもキュートです。
お孫さんに女のお子さんがいらっしゃるそうなのですが、「大きくなったらおじいちゃんと結婚する~」と言っているのだそうで。
そう言われたときの先生のお顔を一度見てみたいなぁ。

この後太鼓の稽古もあったのですが、本舞台で申し合わせがありタイムアップ。
出番は「巴」の地謡。
例会で一番しかないのは久しぶりな感じがします。
でも地謡が一番だけとはいえ、「景清」では藁屋引き、「枕慈童」でも台後見と結局三番とも舞台に出ます。

その後会議。
今日もいろいろと議題があったため2時間ほどかかりました。
23時、立ち食いそばで夕食。
かけそばとミニかきあげ丼のセット。
490円だけど、ちょっぴり贅沢。



  1. 2006/09/29(金) 00:52:11|
  2. 稽古|
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どうにも…

「通勤時間帯に激しい雨になるでしょう」
と、昨日の天気予報。
今朝の予報でも雨のち晴れとのこと。
家を出たときは10時過ぎ。
傘の要らない程度の小雨が降っていました。
じきに晴れてくるんだろうなと思って折りたたみの傘も持たずに事務所へ向かいました。

が!
電車をおりてほどなくやや大粒の雨に。
この駅から事務所までは徒歩30分。
歩いているときは頭が活性化するそうなので、覚えるものがあるときにはいいコースです。
運動にもなるし、電車賃も浮くし。
MDでを聞きながら太鼓に合わせて指を動かすことに集中していたので雨はあまり気になりませんでした。
でも、
ほどなく完全な本降り。
住宅街のど真ん中で傘を買おうにも店はないし、雨宿りをするにも場所がない有様。
とにかく一番近いコンビニまで歩くことにしましたが、気がつくと自分でも笑っちゃうくらいのずぶぬれ。

天気予報のうそつき…。


夕方国立へ。
ちょっと早めに行って稽古。
明日大鼓で「盛久」を見ていただく予定なのですが、なにせこの曲非常に遠く、見たことも聞いたこともないので謡が全然頭に入っていません。
これじゃ大鼓の稽古のしようもないので自分で謡ったのを録音して稽古することにしました。
拍子当りがちょっと変わっていたりして外さないように謡うのが大変。
何度か謡ってなんとか大鼓が打てる程度の謡を録れました
…と思いきや、電源が切れてる。
最近ポータブル録再MDにガタが出始めて、バッテリーがあるのにいきなり電源が切れるということがままおこるのです。
仕方ない、と気を取り直してもう一回。
今度こそOK
…じゃない。
マイクの電源が入ってない。。。

もういいわい!!


その後控え室で何気なく鏡を見ると、ぎょ!髪の毛が寝グセがついたかのようにめっちゃくちゃ。
そういやさっき雨をぬぐってからほったらかしだった。。。
気付かずずーっとこのまんまで出歩いてました。



ついて、ない…。



  1. 2006/09/27(水) 23:23:24|
  2. 日常|
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胡椒しょうじょう

朝、師匠のお稽古。
「猩々」を見ていただきました。
短い曲ですし、謡でややこしいところが数箇所あるほかは特にどうということはないのですが、かえってそれが難しい。
いったいどう舞ったらいいんでしょう?
主人公は酒好きの妖精なもんで感情がどうとかないんじゃないかと思うし。
ゆったり舞うけど女のようになってはいけないし。
楽しそうに見えるのが第一なのではないかなぁとは思うんですが…。
(実は一度酔っ払った状態で舞ってみようかな~とひそかに計画中です)

その後出稽古へ。
先生(女性)のお稽古場なのですが、最近謡は僕がさせていただいています。
今やっているのは「俊寛」
大好き!謡えば謡うほどいい曲!
今日は初同の部分、流罪にされた3人が華やかだった昔を懐かしみながら酒に見立てた水を酌み交わして涙を流すという場面。
いやー、将来一度は地頭をやってみたいです。

その後は仕舞の稽古。
最近新しくはじめられた方と長くされている方とバランスよくいらっしゃる感じです。
長くされている方は舞囃子の稽古に入られてこちらもなかなか大変です。
中には「野宮」という方も。
最近謡ったばかりですが、仕舞どころひとつにしてもそれらしい雰囲気にするのは、実際に謡ってみるといかに難しいかがわかります。

「六浦」で序ノ舞のお稽古をされている方がいたのですが、先生が「じゃ序の笛のところから謡って」と。
ひょ!
太鼓物の序の唱歌ってどういうんだっけ???
できませんというわけにもいかず、とにかく口が動くとおりに謡ってみました。
でもなんか違うような。
あとで調べてみるとやはり「東北」の序でした。。。

一応弁解しておきますと、シテ方はこの間小鼓や太鼓に集中しているので笛はよく聴こえていないのです。
笛の稽古のときにもここは苦労しました。
でも、やっぱり稽古してはいるんだからこういうときちゃんとできないとダメですね。。。

帰り二つ前の駅で降りて100円ショップへ。
まずは豪快にも昨日3枚いっぺんにお皿を割ってしまったのでその補充。
シリアル用のボウルが欲しかったのですが、いいのがありません。
前のはここで買ったのにー。
もうひとつペッパーミル。
粒胡椒を買ったものの、挽くものがないことが判明。
これもなし。
できたら〝今日の料理〟でグッチ裕三が使ってる電動のが欲しいんですが、あれどこで売ってるんでしょう???



  1. 2006/09/26(火) 22:09:12|
  2. 稽古|
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ピークを過ぎて

今日は一日なにもなし。
猛烈に忙しかった時期を過ぎたら急にヒマになっちゃった感じが。
飽くまで〝感じ〟で、実際にはやることはいっぱいあるんですが、やや燃え尽き症候群気味。

家にいるといつまでもぼーっとしてしまいそうなのでとにかく外出。
銀行と郵便局へ。
10分で終了。

その後実家で稽古。
時間はたっぷりあったんでいろいろと。
獅子の唱歌、大鼓「七騎落」「盛久」、「清経」「紅葉狩」のツレ、「猩々」のシテ、「采女」「車僧」の地謡。
疲れた…。

明治神宮の特設舞台はとにかく滑らないと先輩方から言われているので足袋を履かないでも舞ってみました(稽古場は舞台ではないので大丈夫です)。
これすっごいフラストレーションがたまります。
勧めないけどお試しあれ。


買い物に行ってきて晩御飯の準備。
冷蔵庫には片付かないお酒。
プレゼントしようした人には「私は違いがわかる男です。ビール以外はいりません」とのたまわれてしまいました。
なので発泡酒は自力で処理することに。
今晩のおかずは麻婆春雨とジャーマンポテト的なものとつまみ一色。
珍しく家でお酒を飲んだ夜でした。



  1. 2006/09/25(月) 21:38:25|
  2. 稽古|
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就任

あたた、腰が…。
昨夜能楽名演集のDVDを変な姿勢で見入ってしまったのが原因なようです。。。

さて今日は半能「石橋群勢の地謡。
楽屋に張り出されたタイムスケジュールを見ると、14時に開演して「石橋」の開始が16時15分、終演が16時30分。
わかってはいましたが、こう数字にして見るとほんと短っ!!

だからといってちょいと来てさらっと謡えばOK!とはいかず12時に楽屋入り。
「石橋」はこの小書が着くと4体になるため装束の準備が大変です。
半切(袴状の装束)を1つ組んで、さてもう1つ…と思ったところあれれ?
新品で折り目が全くついていません。
折り曲げないと当然組めないわけですが、新品のものを折ってしまうのってなんだか気がひけてしまいます。
丁寧に少しずつ折っていきましたが、まー硬いのなんのって。
普通ならものの1分でできるのに10分以上あがいていました。
それでもなんだかうまくいきません。
師匠がみえたので見ていただくと、どうもつくりが変わっているものだったらしく、頭を捻りながらなんとか形にして下さいました。

一仕事終えて(って、結局半切2つ組んだだけなんだけど)ほっとしたのも束の間、今日からもうひとつお役目が。
それは楽屋でのご宗家の着替えのお手伝い。
着替えくらい一人で出来んじゃん??なんて疑問が飛びそうですが、そういうことじゃないんです。
むしろ僕が稽古のためにさせていただくという感じ。
具体的に何かに直結するということではないと思いますが、後見をさせていただく機会が少ない僕にとってはいい勉強になるような気がするのです。

送り迎えから鞄持ちも当然のようにされる他流の方や囃子方などからすると、むしろ今までどうしてたの?と聞かれてしまいそうですが、内弟子制度のない金春流、更に宗家が継承されたばかりとあってなんとなくそれが決まっていないままになっていたのです。
そうしたわけで一番下っ端である僕が就任(就任ってのもなんかおかしいけど他に言葉が見当たらない)。
ご宗家は僕の直接の師匠ではないわけですが、師匠も「そうさせてもらいなさい」と勧めて下さったので今回こうした形になりました。

よく他流の方と楽屋を一緒にさせていただくとお着替えの場面などは目にするのですが、実際に初めてやってみると段取りが我ながら悪いなと思うことがしばしば。
僕も最近いろいろお役をいただくことが多くなり、僕が出来ないときは女流の若い方にやってもらうことになっているのですが、ご宗家から「いちばん不器用な2人がなったねぇ~(笑)」と。
ひゃー、がんばります。。。

と思っていた矢先、早々に。
今日は「石橋」があるので出番近くなると裃に着替えるのですが、いつものように装束付けや幕上げなどに走り回っているとご宗家はもうお着替え済み。
しまった…。

ばたばたしているうちに、はや出番に。
謡った時間は2分ほどでしたが目一杯謡わせてもらいました。
そして最後もお着替えをお手伝いさせていただいて今日はおしまい。


やっぱり腰が痛い。
みなさんに言われたとおり「黒塚」の疲れが今頃出てきたのもあるのかも。
またカイロ行ってこよう。



  1. 2006/09/24(日) 22:55:01|
  2. 舞台|
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とある柑橘類とおんなじ

昨日は朝からいろいろと。
まず国立で申し合わせ。
半能「石橋群勢の地謡。
謡うのはキリだけなので量は極めて少ないのですが、スピードがすんごく速いのです。
ひさーしぶりに謡ったのですが、一句飛びそうになってしまい危うく置いてけぼりになってしまいそうでした。
当日までにもうひと稽古しておかなくては。

その後事務所で作り物の梱包と発送作業、そして会議。
それが終わると出稽古へ。
おじ様方の謡のお稽古をしていると久しぶりにいらっしゃった方が。
今年の頭にご出産されお稽古をおやすみされていた方が久しぶりにいらっしゃったのです。
お子さんの写真を拝見させていただいたのですが、かわいいことかわいいこと。
娘欲しいなぁ。
で、結婚式で娘を送り出して小さい頃のアルバムを見ながらひとり声を殺して泣くんだ…、っていかんいかん!妄想が大暴走してしまった。。。

驚いたのがそのお子さんの名前。
師匠の娘さんとおんなじ!
ある果物の名前なのですが、28年の人生の中で初めて同じ名前というのを聞きました。
いやーびっくり。

お稽古が終わり新宿へ。
先月もあった異業種交流会の第2回。
またもいろーんな業種の方がいらっしゃいました。
ただ規模が前回の倍近くまで膨れ上がっていて、すっごい人数。
残念ながら全員とお話するのはちょっと無理でした。

その中で我が愛するFC東京のスタッフという方が。
選手の素顔やらいろいろお聞きできました。
味スタにいらっしゃるというので、今度お会いできるのが楽しみ!

前回のときこの前の「黒塚」を宣伝したところ12名もの方が来てくださいました。
今回の会にもそのとき見に来て下さった方がいらして感想をお聞きすることができました。
そのなかで数十番能をご覧になっている方がいらして、感想を伺うのはちょっと怖かったのですが、非常にいい印象をお持ちいただけたようでほっと一安心。
特に今回目指していた〝悲しさ〟的なものがすごく感じられたと言っていただいて、涙が出そうになるくらい嬉しかったです。
次回も是非!とも仰っていただいたので、来年の「胡蝶」でもまた楽しんでもらえるように頑張らなくちゃ!!

2次会まで続いたこの会。
新宿で電車に乗ったのが0時10分。
40分くらいには家に帰れるな、と思いきや、この時間になんと人身事故。
車掌さんが逐次状況報告をしてくれるのですが、警察が実況見分していて運転再開を申し入れているが、なかなか許可が下りず発車できませんとのこと。
珍しいな、こういうアナウンス。
結局40分くらい足止めをくらって家に着いたのは1時をはるかにオーバー。
さすがにチカレタ。。。



  1. 2006/09/22(金) 22:41:23|
  2. 日常|
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ひといき

先月東西合同に行く前日以来のおやすみ。
久しぶりに目覚ましをかけないで眠りました。
でも、目が覚めたのは7時過ぎ。
悔しいので二度寝しました。。。

それでも結局8時半に起きることに。
空は久しぶりに抜けるような青空。
こりゃもったいないと布団を干して洗濯機を急いで回しました。

忙しさにかまけていろんなことをほったらかしておいたのでひとつひとつ片付けることに。
まず掃除、次にアイロンがけ、で実家に行って日曜日に干しておいた胴着やらの片付け。
稽古場が一通り片付くと少し稽古をしてみようと思ったのですが、笛は鳴らないし、声もなんだかよく出ないのでほんのちょこっとでやめ。
水を汲んで帰ってきて、スーパーへお買い物。
冷蔵庫に食材がほとんどない状態だったのであれこれ買ってきました。
あ~、お買い物ってば楽しい!!

買ったはいいものの冷蔵庫は意外と余裕ナシ。
先月バイト時代の先輩が飲みに来たときに置いていってくれたビールがわんさとあるためです。
基本的に家では飲まないので全然減りません。
おお、そうだ!
「ビールが主食」という方がいた!
自転車で10分くらいと近いので後で持って行ってあげよう。

料理するのも久しぶり。
外食が珍しく多かったし、家では作っても本当にいい加減なものばっかでした。
ということで久しぶりに包丁を持って夕食作り。

日曜日に差し入れを幾つか頂戴したのですが、その中で先輩のお弟子さんから食材セットというか調味料セットのようなものをいただきました。
アンチョビフィレ、バジルペースト(2種)、マスタード、フランス製食塩、EXバージンオリーブオイルの詰め合わせです。
いやー、ほんっとありがたいです!!
早速使わせてもらいました。
20060920221629.jpg

写真はピンボケ気味ですが、バジルとキノコのパスタ、アンチョビ入りシーザーサラダ、鶏のマスタード焼きにスープとパンです。

ふぅ~、食った食った。



  1. 2006/09/20(水) 22:22:50|
  2. 一人暮らし|
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今度は地謡座から

今日は朝から研究会。
おとといやったばかりの「黒塚」がありました。
シテは僕より1歳上の先輩。
実は先輩もおととい「半蔀」を舞ったばかり。
初演ではないにせよ、昨日も同じスケジュールだったので相当ハードなはずです。

さすがに型も謡もまだ記憶があるので地謡謡いながらしーっかり見させてもらいました。
あぁ、なるほどなーみたいに。
でもこの忙しいのに僕にわかるミスは1箇所だけ。
それも「あれ」と「これ」の違いだけ。
それにひきかえ、僕はあんだけやったのに…(泣)


研究会終了後会議。
そのなかで能楽界は世間一般の常識からみて甘いという話題が。
僕自身も確かにそういうところがあるな…、と考えさせられました。

酒が入ると僕は特に危うい。
意識が飛んでしまうことはほとんどないのですが、気が大きくなって思ったことをずけずけ言ってしまうのです。
大学時代塾でバイトしていた頃、僕のあまりの醜態にみかねた先輩たちが「酒癖をなおす会」みたいなのを結成してもらったことがあったくらい。
そのときほど酷くはなくなったものの、今でも飲んだあとなど「あんなこと言わなきゃよかったな…」と思うことがしばしば。
考え方が甘くなったところに栓まで緩くなるようなことがあっては、下手をすると身を滅ぼしかねません。

能にはその人の人柄が出るといいます。
「黒塚」でもある人から、「ちょっと優しかったね」と言われました。
優しさと表現して下さいましたが、これはたぶん自分の甘さ。
優れた能は舞うには人格を磨かねばならないのだと今一度肝に銘じなければなりません。



  1. 2006/09/19(火) 23:21:45|
  2. 稽古|
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45年

今日は先輩とそのお母様である女流の先生ご社中の発表会。
会発足45周年記念大会ということで能3番、舞囃子12番という非常に大きな会でした。

会の始まる1時間前、9時ちょい前に到着。
(国立能楽堂は10時開演の場合、9時からしか楽屋が開かないことになっているのです。今日は少し早めに開いたようですが)
玄関でカメラマンの方に昨日の「黒塚」の写真をいただきました。
実はこの方、今日の会主である先輩のお父様、先生のご主人にあたる方なのですが、流儀のカメラマンとして活躍されているのです。
写真はわくかせを繰るシーン2枚。
後で師匠にお見せしたところ、
「おっ、いい………装束だねぇ(笑)」と。
ちなみに装束は先生の御宅のものです。

その後あくせくと準備。
僕は最初の能「鶴亀」に使う引き立て大宮の組み立て作業へ。
まず屋根の部分から。
金春流の場合、竹の骨組みに赤棒地(赤の包帯状の布)を巻きますが(流儀によっては紅入の段棒地を巻くようです)、これは予め申し合わせのときに済ませておいたので、縁に紅入の段棒地(赤が入った縞の包帯状の布)をかけていきます。
高い位置にあるのでお客さまからはあまり目立たないかもしれませんが、これ結構骨が折れます。
作業自体は単純で上から下へ、あるいは下から上へと周りをぐるりとまわしていけばいいだけなのですが、一つまちがえるとそこまで全部やり直し。
一周するとまずぴったりとはいかず、棒地が余ってしまうのでこれをうまく処理しなければなりません。
切っちゃえばいいじゃん!…て、確かに手っ取り早いのですがそうはいきません。
折り返したり縫い付けたりあれこれ工夫して目立たないように処理します。
ここまではひとりでやるしかないので、頭をひねりながら黙々と進めます。

次に屋根衣(やねぎぬ)掛け。
屋根の上に乗せる赤い布をこの骨組みにくっつけるのです。
布のほうがサイズが大きいので四辺を折り返して糸留めします。
ここからは人手が掛けられるので比較的スイスイ進みます。
これに四本柱を白棒地で巻いていって、ある程度動くようにくっつけて完成です。

これを作ったり着物を着付けたりしているうち、あっという間に開演時間。
連吟、独調のあと5歳になる先輩の娘さんの初舞台(こう書くと先輩が5歳みたいだけどそう思う方はいないですよね…)。
ちっちゃなお嬢さんが紋付袴で切戸から出てくるだけで、見ている人みんなの頬が自然と緩んでしまいます。
仕舞「西王母」、大きな声で謡ってしっかり舞ってとーーーっても立派!
拍手喝采でしたっ。


さてそれから僕は仕舞数番、舞囃子3番、能2番地謡を勤めさせていただきました。
ひとつひとつ書いていきたいところですが、長くなってしまうので能のみ。

最初は作り物を担当した「鶴亀」。
シテをされた方はもう堂々たるもので、危なげない皇帝でした。
僕は以前にも書きましたが、この曲でツレの亀を舞わせてもらったことがあります。
同じくツレの鶴と相舞するわけですが、悔しいかな今日のお2人のほうがよく揃っていました。
さすが高校から(中学から?)の同級生、息ぴったりです。
ちなみに今回は直面でした。
お2人とも成人されているので子方というにはさすがに無理がありますが(子方は面をつけません)、花も恥らう乙女、このほうが華やかです。
ちなみに僕がやったときは面着用。
視界が狭かったため合わなかったわけで…、ってそれでも合わせるのがプロなのですが。。。

次は「経政」
短い曲ですが出てきたら動きっぱなしな感じ。
終演後の打ち上げの際、年齢をカミングアウトされてましたが、実に若々しいハツラツとした舞台でした。
地謡も変化に富んで面白いのですが、楽しく謡わせてもらいました。

最後は半能「石橋古式
獅子という重い習いのある曲で、僕はまだ披いていません。
地謡にはついてなかったのですが作り物の出し入れをする役目(台後見)になっていました。
ノーマルな「石橋」は獅子一体ですが、古式の小書がつくと白獅子・赤獅子と2体登場します。
通常獅子口という能面を掛けますが、今回は「望月」風(扇なし)の覆面を着用していました。
こちらも勤められたのはうら若き女性の方、それもご姉妹でした。
このブログをご覧になっているかもしれないのでというわけではなく正直、覆面するとせっかくの綺麗なお顔が隠れちゃって勿体ないなーと思いながら装束づけのお手伝いをしていました。
そう思ったのはやはり僕だけではなかったようで、お2人の師匠である先生も「覆面なくていいわねぇ」と鏡の間で仰ってました。

舞台のほうも実に見事。
キリになったら舞台に出ないといけないのでその準備で残念ながら全部は拝見できませんでしたが、実に切れ味鋭い舞。
申し合わせのときは全部じっくり拝見したのですが、見入っちゃいました。
僕もいずれ披くことになりますが、「あのときのほうがよかったなぁ」と言われそうでちょっと怖いくらいでした。。。

終演は17時半。
動きっぱなしでしたが意外と体はラク。
でも終わってから昨日の疲れとあわせて一気にぐったりきました。



  1. 2006/09/18(月) 23:59:03|
  2. 舞台|
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「黒塚」終了

帰宅しました。
結論から先に言いますと、結果はう~ん…といったところでした。


今朝10時過ぎに楽屋入り。
いつもは装束運搬係なのですが、今日は行きのみ免除。
早めに入っていろいろ準備と思ったのですが、作り物は能楽堂との行き違いがあったり、装束の車はお祭りのお神輿渋滞につかまってしまったとのことで本格的に準備を始めたのは11時40分くらいから。
楽屋は急にあわただしくなりました。
初番の先輩はその車に乗っていたので、着いてすぐシテという状況でしたが、まったく慌てることなく装束に着替え始めました。
「えーと最初の謡は〝げに侘び人の…〟ってこれは黒塚か」なんて冗談が言えるほど。
このあたりはやはり場数、特に特設会場などを多く体験されているので、そのあたりがものを言うのだなと差を痛感させられました。
今の僕ならこの時点で感情がコントロールできなくなっていたことでしょう。

そんなこんなで先輩の装束付けをお手伝いし、「巴」の地謡へ。
舞台に出てみると大勢のお客さまが。
心持ちいつもより落ち着きがないのが自分でもわかりました。
でも謡い始めるとだんだん取り戻し楽しく謡わせてもらいました。

ここから「黒塚」までは非番。
能楽堂に来る途中に手足や頭の後ろに軽い痺れを感じ、あぁこれは緊張しているなと思ったのですが、バタバタと仕事に追われるうちそういった感じも薄くなっていました。
しかし前の「半蔀」の序ノ舞に差し掛かりいざ着替えとなると再び緊張感が高まってきました。

一通り着付けていただき鏡の間(幕のすぐ近くの姿見がある空間)へ。
鼓動が高まるというほどではないのですが、ジリジリと重くなっていくなにかを感じます。
ここのところ舞囃子やツレを勤めさせていただいたりしていたのですが、シテは「箙」以来1年半ぶり。
自分で切符を捌いたり営業活動をしたことなどもあってか、ちょっと質の違う緊張感です。

お調べが始まり作り物の中へ。
「黒塚」は作り物に入り引廻しをかけた状態で舞台に出ます。
このパターンは初めて。
申し合わせのときもここからはやらなかったので本当にぶっつけなのです。
ただでさえ面で狭い視界に更に引廻しがかかると自分がどこにいるのかもわかりません。
暗くなった感じからここは幕の前だなと思っていると、ほどなく「はいお幕」の声。
普段幕切は自分で「おまーく」と言って幕をあげてもらうのですが、自分の意思が利かない状態で舞台へ出て行くのはなかなか不思議な感覚です。

所定の大小前へつき着座するとまず前を向いているかどうかの確認。
出る前に師匠から必ず確認するんだよと言われていたので、いろいろ手で探ってみながら正面を確認しました。

そして引廻しが下りるまでに最初のひとかたまりの謡を復習。
ところが!
どうしても出てこないところがひとつ。
何度か行きつ戻りつしているうちになんとか続くようになったのですが、明らかに違う謡に飛んでいるのです。
このときに焦りはピークに達しました。
何十回と謡っているこの謡が急に出てこなくなるというのは恐怖という以外に表現のしようがありません。
途中違和感を感じながらもなんとか通るようになったので、もうあとは口が動くに任せた!とハラを決めていざ謡い出し。
結局「なんか違う…」と思いながらもその箇所は謡い切りました。

それからはなるべくそこを気にしないようにして進めていきました。
謡いながら「少し重いかな?」と思いましたが、ここまできたら自分のやりたいようにやるしかないので贅沢に時間を使わせていただきました。

中入。
一転、鬼の装束に着替えます。
落ち着いて集中しているつもりでしたが、後の一句でそれは錯覚だということがわかりました。
勢いよく幕を出、一ノ松でワキを見込み謡い掛け。
〝いかにー…〟と声を出した瞬間驚きました。
自分でも出したことのない、高い大きな音が口から飛び出したのです。
先輩の言葉を借りれば「超音波のような音」だったそうです。
2句目からは普段の声に近くなったのですが、面の中でわがことながら思わずきょとんとしてしまうような一瞬でした。
その後は落ち着いているつもりが落ち着いていなかったようで、はっと思うところも冷静に動けた反面、何でもないところを今までやったことのないミスをしてしまったり、なんともちぐはぐな感じでした。

舞い終えたあとはすっきりしない気持ちで一杯に。
謡い掛けのところがうまく嵌らず、最後の謡であわせた感が強く出てしまいました。
別に囃子方に媚びるということではなく、後シテの最初の部分がうまくいけばもっと(語弊がありますが)囃子方を〝のせる〟ことができたのではないかと。

「能は想像力が大事です」などとよく講座で偉そうに言う割には自分自身に想像力が欠如していたのではないか、とも。
一番最初の謡い出しもそういったイメージを強くもって稽古に臨んでいればパニックは未然に防げたはずです。
最近とにかく稽古の数をこなすことで緊張感から逃れようとしていましたが、これからはもっと1回1回の質も高めていかねばならないと思い知らされました。

最後のお稽古のとき師匠から「やってみて黒塚は難しかった?」と聞かれ、思わず「時間が足りませんでした…」と答えてしまいました。
我ながら言い訳がましい微塵も可愛らしさのない答えだったのですが、素直に「難しかったです」と言うのに強い抵抗を感じたのです。
しかし今日終わったあとは「黒塚は難しかった…」と思うほかはありませんでした。
じたばたあがいてみたものの「黒塚」という枠の中でくるくると回っているだけのような、そんな感じでした。

正直悔しい。
やれることはやったけど悔しい。
「お前の力はまだ所詮この程度なのだ」と現実を突きつけられてしまったようで…。





うん…。
でも、また、がんばろ。



  1. 2006/09/17(日) 23:30:59|
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明日

いよいよ明日になりました。
やるべきことはすべてやりました。

楽しみ。

ぐっすり寝て明日に備えたいと思います。



  1. 2006/09/16(土) 21:44:00|
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あと2日

昨夜あれから能楽名演集見たんですが、
短すぎ!!
めっちゃくちゃ短縮バージョンでした。
時間の制限のあるイベント能でもここまで短いのは見たことがないくらい。
30分くらいで終わっちゃうんですもん。
テレビ放送上、時間の制約がったんでしょうけど、もったいない。

それともうひとつ。
カメラが全然演者を追いきれてない!
イノリで橋掛りに行くところなんか完全にずっぽかし。
うーん、なんだかなぁ。

でもエッセンスは詰まっていました。
本田秀男先生の謡は初めてお聞きましたが、当たり前ですが光洋先生に似ていらっしゃる…、いや光洋先生が秀男先生に似ていらっしゃるわけですね。。。
後シテは人間国宝桜間道雄先生。
両先生とも流儀の大先輩なのですが、僕などからすると伝説上の方々であって極端な話お会いしたことがないと言う点で金春禅竹(このながれからすると先生とつけるべき?)とも変わらない存在なのです。

短かったのは残念でしたが、とにかく強い!という印象。
謡も型も。

師匠からもずっとご注意を受けてきましたが、どうも僕の謡、特に前は弱くなりがち。静かに謡おうと思っていると、必要以上に弱くて芯のない謡になってしまいます。
静かにと弱いとは別物であるとよく言われますが、この違いをしっかり実感できるようになるのは非常に難しいことです。


今日は師匠に見ていただく最後の機会。
昨日の申し合わせの反省を踏まえて臨みました。
よくなったところとまだイマイチのところと、そして更なる課題と。
やればやるほど新たな問題は出てきます。
でもそれは当然。
これでカンペキ!なんてことはない世界なのですから。

9月は忙しくなることを意識して春からすこしずつ準備をしてきましたが、結局のところこの間の稽古はいったりきたりの繰り返しであったような気がします。
前半の謡が典型で、早い遅い、重い軽い、強い弱いといったことを言われ続けてきました。
能って流れが大事。
ひょっとすると心情とかそういう内心的なものより、ある種客観的なこの技術のほうが重きをなしているのではないでしょうか。
もちろん単に技術なのではなくて、こういったものを自分の感情・感覚の一部として自在に扱えるのが理想なのでしょうが、今の僕ではちょっと無理な話。
師匠からOKをいただいた状態を自分の中で正しいという感覚にもっていけるようにしていくのが今の時期なのだと思います。

この流というのはパズル的な感じで、一つ流れを変えると全体的にカタカタと数値が変わっていくような感じを覚えます。
ここが少し早くなったから、ここも少し上げて…とか。

でもつまるところ体で覚えていくほうが早い。
頭はそのあとで整理。
ということで今日はひたすら舞いました。
階段を上り下りすると太もも、ふくらはぎがしっかり疲れているのがわかります。

泣いても笑ってもあと2日。
もう少しやっときゃよかったな~という思いだけはしないように、やれるだけのことはやって臨みたいと思います。



  1. 2006/09/15(金) 22:32:04|
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やってもーた… と 買ってもーた!

今日はいよいよ「黒塚」の申し合わせ。
全体リハーサルである申し合わせは能の場合通常1回のみ。
それまでは各役がそれぞれ稽古していくのです。

人数の少ない金春流。
シテを舞うからといって他の役は免除、なんてことにはなりません。
初番「巴」の地謡にもついています。
この曲は地謡が非常に多く、これだけでもう充分という感じが…。
でも楽屋に入ってずーっと待っているよりかえって疲れないですし、一度大きな声で謡えるチャンスがあるというのは僕にとってプラスです。
それよりもなによりもこの曲謡うのが楽しい!
今日は諸事情があって地謡の人数が少なかったのですが、思いっきり謡ってきました。

そして「黒塚」。
相変わらず始まる寸前までリラックスしていたのですが、申し合わせの場合最初からやるわけではなくシテ方に関するところだけなので、いきなり僕の謡から始まります。
この感覚に慣れず集中しきれないで謡い始めると今まで一度も間違えたことのないようなところが急に真っ白に。
なんとかつないだものの、あちゃ~という思いで冷静さを失ってしまいその後もミスをぽろぽろ。
あーここはこの前師匠にご指摘いただいたところなのにまたやっちゃった…なんてことが頭をよぎりながら前シテ終了。

一旦幕に入り、あーしまったな…なんて思っていたら大変なことに。
「黒塚」は太鼓方が観世流の場合、出の部分がハシリという手に変わり幕切りのタイミングが早くなります。
ボーっとしてたら聞きそびれてしまい、あれあれ???と思っていたら「出る!」と師匠のお父様から。
うわー、こりゃやってもーた…、と思いながら気を取り直してなんとか舞い終えました。

終了後はまずお囃子方に平謝り。。。
師匠からもこりゃものすごいダメだしを頂戴することになるな…と思っていたら、意外にもよくなったとのこと。
でももちろんそれ以上にたくさん修正すべき箇所は出てきたんですが。。。

結局のところあんまりああしてやろうこうしてやろうという意気込みは、舞台に立つと緊張感でぜーんぶ流されてしまいました。
もう今までの稽古の内容で勝負しているという感じ。
でもかえってよけいな作為がないほうが流れとしてはすっきりいくような感じもしました。

ま、申し合わせは間違ったほうがよし!
うまくできたつもりになっちゃうと当日油断する恐れ大ですから、このくらいでちょうどよし!
めげていてもしょうがないので開き直って舞います!!


話はちょっとさかのぼって。
申し合わせに行く前ご宗家宅で装束出しをしました。
そのときに〝能楽名演集〟の話題が出て、ご宗家から「せっかく黒塚やるんだから見ておいたら」とのこと。
いずれ買おうとは思っていたのですが、見始めちゃうと他のものが手につかなくなりそうで敬遠していました。
でもせっかくそういって下さったので申し合わせに行く前神保町まで足を伸ばし能楽書林で全巻セットを購入!
結構な値段ですが、内容を考えればかなりお買い得な逸品です。
もう夜も更けてきましたがこれから早速見まーすっ。



  1. 2006/09/14(木) 23:47:09|
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間に合うの?

平山がFC東京に入団だそうで。
ホントに必要なのかなぁ???
去年やったらFWが少なかった反動か今年はずいぶん大勢。
まーここ最近低迷しているチームの起爆剤になってくれればいいんですが。
どうでもいいけど予想通りユニホームが似合ってないなと思うのは僕だけ?


さて今日はまず10時から稽古会。
7時半には起きようと思ったのですが、目が覚めてもしばらく体がいうことをききません。
結局出かけるのが遅くなりタクシーに乗ることに。
出費。。。

途中環七大原の交差点で車道に堂々と歩いてくる人が。
危ないなぁ、と思っていたら運転手さんの窓をコンコン。
警察官が事故発見者を求めるビラを配っていたのでした。

ふと外に目をやるとビラ配り係の中にすんごーく綺麗な婦警さんを発見!
目の保養ができたのでタクシー代は痛くないということにしておきましょう。。。

ま、それはおいといて稽古会。
最初が僕の舞う「黒塚」でした。
ここ数日の稽古の成果を!と意気込んだのですが…。
終わってから師匠が「えーと、たくさんあるんだけど…」と紙面いっぱいにメモが。
前シテの謡、座っているときの構え、作り物の出方、わくかせの回し方、イノリの型などなど。
申し合わせはあさっての木曜日。
もうすぐじゃん!
ビデオを撮っておいたので、明日一日じっくり研究してしっかり稽古しなくちゃ。。。

その後地謡2番を謡ってから申し合わせのため国立へ。
何日連続で通ってるんでしょう?
舞囃子「田村」の地謡でした。
前列なので微力ですが、もう少しこう強さが出せたらと思いました。

結局今日は6時間くらい正座していました。
これが仕事とはいえさすがに帰り道足がだるくてしょうがなかったです。。。



  1. 2006/09/12(火) 23:53:50|
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近いうちに

午前中事務所に行き、諸々の仕事を済ませたあと国立へ。
来週に行われる同門会の申し合わせ。
20時に終わり、これで帰宅…とはいかずそのまま会議に事務担当として出席。
もう事務所を辞めて4ヶ月経つのですがすっかり事務が板についてきてしまいました。
嬉しいような悲しいような。。。

僕がダントツにペーペーで次に若いのが師匠ということからもわかるように非常に重要な会議。
そんな中でも僕も意見を言わせていただき先生方もしっかり耳を傾けて下さいました。
能楽界って上から下に有無を言わさず、みたいなところがなくはないところなのですが、金春流はこういった点から見ても非常に風通しのよい組織なのではないかなと思えます。

しっかりした内容のある会議だったのですが、そのぶん終わるとどっと疲れが。
最寄の駅に着いたのが11時過ぎ。
まだ夕飯を食べておらずさすがに今から家で作る気力はなかったのでラーメン屋へ。

最近忙しく働いている自分へのごほうびとして、オーダーは
「チャーシュー麺、中盛りで」
うわー、なんて贅沢!

帰宅して原稿の作成、その他事務。
今さっきやっとこさ完了。
宣言しておきますが、この調子だと体力のない僕の体は近いうちに悲鳴を上げます。
もしブログが3日間更新されなかったら倒れたと思って下さい。



…って、それならブログなぞ書いてないでさっさと寝ろよ、自分。。。



  1. 2006/09/12(火) 00:52:11|
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連戦

2日続けて国立での公演。
今日は「岩舟」「野宮」の地謡。

まず初番の「岩舟」。
地謡編成の都合上、年に1度あるかないかの後列。
ほんのちょっと後ろに下がっただけなのになんだか緊張してしまいます。
おまけに今日はワキが受け取った宝珠を取りに行くという作業が加わります。
別にどうってことはないのですが、前列ではない作業なのでこれも緊張の要因です。

初同が始まって間もなく取りに行くことになりましたが、意外と足がしびれていてちょっとヒヤリ。
能楽師は特殊な足をもった生物だとお思いの方もひょっとしたらいらっしゃるかもしれませんが、ちゃーんとしびれます(笑)
特にここ最近舞台やら申し合わせやらが続いていたので、疲労が溜まりしびれやすくなっていました。
でもしびれてもすぐ回復させる術は身につけているのでスッテンコロリンは回避。

立って取りに行ったまではよかったものの、そこでふと疑問が。
「どっち向きに回るんだ?」
普通、舞など型として動く場合はお客さまになるべく背を向けないようにというのが基本になります。
しかしたとえば作り物内での物着のときに装束を後見に渡す場合などは、自分の体でそれを隠すためあえてお客さまに背を向けるのです。
さてこの場合はどっちだ?と0.2秒くらい悩みましたが、結局普段どおり背を向けないよう右回りで帰りました。

終わってからご宗家にお尋ねしてみたところ(それしきのこと聞いちゃっていいわけ?と思われるかもしれませんが、ご宗家は非常に気さくに答えて下さいました)、これで正解でした。
なんてことない所作ですが、こういうところにこそ実力は出るので気は抜けません。

初番は無事終わり、次の装束付けのお手伝いをさせていただいて「野宮」へ。
2番地謡がついているからといって休んではいられません。
ちなみに狂言方の楽屋に萬斎さんらしきお姿が。
バタバタしていましたし遠目だったのではっきりわかりませんでしたが監督にいらっしゃったのでしょうか?

さて、いざ地謡へ。
今度はさすがに前列です。
この曲は非常に重い曲なので僕みたいなペーペーが座らせていただけるだけでも、規模の大きな流儀の方は「えっ?」と思われるかもしれません。

やはり謡うのはもんのすごーく難しいですが、謡えば謡うほどいい曲。
三番目といわれるジャンルのなかで最も好きな曲です。
金春禅竹の作ですが、いかにもそれらしいちょっと独特な節と感情が複雑に入り組んだ詞章。
聞かせどころのクセ、そして緩急のつく後半。
いろいろな感情がぐーっと昂ぶって破ノ舞に入るあたりなどはこみ上げてくるものがあります(「松風」「胡蝶」も好きなのですが、僕は破ノ舞フェチなんでしょうか)。
そして金春流は小書ナシでも残りドメになります。
残りドメとは謡が先に切れ囃子だけが最後に残る演奏法のこと。
これがまた余韻を残して非常によい雰囲気なのです。

この余韻がお客さまにも伝わってか、今日は拍手のタイミングが少し遅めな感じがしました。
それにいつものはないのですが作り物が入る際にも拍手が。
この曲では作り物はなくてはならない存在なので、きっと彼も喜んでいたことでしょう。
ちなみに金春流の作り物は台輪の横に柴垣を着けるという形態になっています。

上演時間110分強。
楽しかったけれど、体と脳は正直に疲労を訴えてきました。。。



  1. 2006/09/10(日) 22:17:52|
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菊のかおり

今日は国立の普及公演。
解説入りの公演になります。

会は13時からでしたが、「枕慈童」は14時40分からの予定。
作り物が面倒だけど11時半に行けば充分だろう…と思いきや、もうすでに師匠親子はご到着。
それどころかすでに塚の作り物は半分出来上がりの状態。
お、おはやいー。
計算が甘かったです、すみません…。

気を取り直して作業に。
昨日の申し合わせのときにも確認してあったのですが、金春流は一畳台を大小前に置き、その上に塚を乗せます。
塚は一畳台の前側から乗せるので、菊を全面につけると塚を置くのがものすごーく大変、というか無理になってしまいます。
そのため塚の幅分だけ空けて菊を一畳台に着けておきます。
せっかくなんで写真を撮っておけばよかったのですが撮りそびれてしまったので、ご覧になりたい方は10月1日の金春会にお越し下さい(って宣伝かよ)。

9月9日は重陽の節句ということもあってか、今回の菊は生花(ちなみに塚の上に着けた葉も生花)。
昨日の段階で聞いてはいたのですが「もし白だけだったらお葬式みたいだね」なんて楽屋で話していました。
もちろんそれは杞憂で白・黄・赤の三色が用意されていました。

でも後から考えてみると、白だけならそれでも意味はあったかもしれません。
不老長寿を得たことが幸せかといえばそれは大いに疑問です。
手塚治虫の〝火の鳥〟でもそれは恐ろしい残酷さをもって描かれていましたが(特に宇宙編などは恐ろしいことこの上なかったです)、永遠の命を得ることは、生という無間地獄に落とされるといっても過言ではないのでしょうか。
そういう意味では勅使に存在を発見されることによりその罪を赦され、真っ白な菊に包まれて天に昇ることができる…そんな感じ。
もっとも終わりが「山路の仙家にそのまま慈童は入りにけり」とありますし、詞章全体としてもめでたくめでたく仕上がっているのでちょっと解釈がひねくれすぎだとは我ながら思いますけど。

舞台上では菊が香りを放ちなんとなく普段と違う雰囲気に包まれていました。
満員のお客さまにも届きましたでしょうか?



  1. 2006/09/09(土) 21:33:19|
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たまには宣伝

ということで今年の出演予定をちょっと宣伝。


9月17日(日)
円満井会定例能 「黒塚」シテ
於:矢来能楽堂 12時半開演(黒塚は16時過ぎの予定)
詳細はこちら

11月1日(水)
明治神宮奉納能 「猩々」シテ
於:明治神宮境内特設舞台 11時45分開演(狂言1番のあと)
※入場無料

10月9日(月・祝)
鎌倉薪能(2日目) 「紅葉狩」ツレ
於:鎌倉宮(大塔宮) 17時開演(素謡・能・狂言のあと)
詳細はこちら

10月31日(火)
東海大学欅能 「清経」ツレ
詳細はおって掲載します。



  1. 2006/09/08(金) 22:21:03|
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風邪菌撃退

今日は15時から申し合わせ。
でしたが、昨日と同じく午前中から国立に行っていました。

まず地下の図書館へ。
「黒塚」のビデオをいろいろ見てみました。
流儀によって様々なことはもちろん、同じ金春流でもシテによってだいぶ解釈が変わっているのがわかりました。
ただ見られる時間が1時間しかなくてかなり駆け足で見ることになりました。。。

この図書館、非常に便利だしありがたいんですが、12時から1時間昼休みがあって閉まっちゃうんです。
ビデオ見ていて数分伸びてしまったら、はいはいもうお終いですよ~という感じで係の方がこちらを見て待っていました。
お世話になっているのにこんなこと申し上げるのはなんですが、ちょっとお役所仕事な感じが。
普通の街の図書館だって昼休みで閉めるってことはないんだし、交代でとれば済むことじゃないのかなぁ…。

この図書館が寒かったのか疲れが出てきたのか、急に鼻水が出るようになってきました。
どうも変だなと思いながら2階に上がり1時間半ほど稽古室で稽古していたのですが、だんだんフラフラしてきて明らかにおかしくなってきました。
稽古室の終了報告に養成課の窓口に行くと、職員さんからも顔色が悪いとか鼻声だと言われ、ありがたいことにすぐさま風邪薬を下さいました。
これがテキメンに効いて1時間後くらいには嘘のように楽に。

ちなみにこのお薬、謡本や手付本のすぐ横の引き出しに栄養剤やらと一緒にどっさり入っていました。
春秋の能繁期になると下っ端である研究生たちはだいたいぐったりして稽古にくるのでそのための準備なのでしょうか???
なにはともあれ助かりました、ありがとうございます!!

それから本舞台で申し合わせ。
曲は「枕慈童」で、シテは師匠のお父様。
先日の東西合同の講評会の際、ある囃子方の先生から「オマエさんは舞っているときの表情が険し過ぎる」とご指摘をいただいたのですが、今日の先生のお顔は実に穏やか。
力を抜いてかつ気合を入れた状態で舞うのって本当に難しい。
僕はいつできるようになるかなぁ。。。

終わって再び上に行き小鼓の稽古。
前回のお稽古のとき次から番囃子(一曲全部を囃すこと)でも、というお話だったのですが、
すいません、この時期に無理です!
ということでさりげなく「田村」の初同から中入までにしていただきました。
それも手付があったのはクセ前からしかなく、いくらなんでもそれじゃ短すぎるだろうということで初同からそこまでの部分を急遽追加。
小鼓方の人から教えていただいたのですが、切羽詰って「えーと、トリ、三地、ツヅケ…」なんて順番で覚えようとしていたら、「あーあ、ついに堕落の道に走りましたね…」と冷たい一言浴びてしまいました…。

結果、かなり危なかったもののなんとかパス。
あまりしたくない緊張をしました。。。

お稽古が終わったあと、先生からいろいろとお話を伺いました。
お囃子方は深い想いをもってそれぞれの楽器を演奏されています。
シテ方はそれをしっかり受け止めて勤めないといけないんだなと再認識させられる貴重なお話でした。

緊張から解放され、まだ浴衣を着ていたついでにもうひと稽古。
4回舞ったので、残り43回。
最低でも50回と意気込んだものの、こりゃ大変だぁ。



  1. 2006/09/08(金) 21:47:54|
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あたまが…

昼前に国立へ。
そのまま稽古室で暗誦。
夕方から大鼓と笛の稽古。
その後週末の会の申し合わせ。
「岩舟」「野宮」の地謡。

頭がパンクするぅ~。
明日も申し合わせ&研究生稽古だし。。。

「黒塚」50回やると宣言したのにまだ3回しか舞えてない。
自分の稽古のための時間が欲しいよぉ…。



  1. 2006/09/07(木) 22:35:50|
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健康的な鬼

朝8時前に目が覚めていたのに、どうにもウダウダしてしまい家を出たのは11時前。
出稽古は午後なので直接行こうとするならもう1時間半家にいられるのですが、実家で少し稽古してから行くつもりでした。
稽古をやり始めてしまえば大丈夫なのですが、始めるまでの腰が重い。
「加茂」が終わって気が抜けたのか、どうもたるんでます。。。

結局1時間弱だけ稽古してから出稽古へ。
「俊寛」の謡の稽古。

その後宗家の御宅で週末の会の装束出し。
今日は5人がかりだったので3曲あわせて40分ほどで完了。
ちなみにこの装束出しというのは、やる曲・シテに合わせて棚から装束や小道具を出してきてコーディネイトし、それを謡本の装束付けと詠み合わせ、ノートに書き、運搬できるようにパッキングする作業をいいます。
このコーディネイトが能楽師としての大事な能力なのですが、僕はまだ先輩方の言われたとおりに出してくるだけの段階。
まずどんな装束があるかということを頭に叩き込まねばならないのですが、まだ全然。

その後1時間ほどおいて研究会。
「黒塚」を舞い、「岩舟」「巴」「半蔀」を謡いました。

問題の「黒塚」。
この夏の間、それなりに舞ってはきましたが、どうしても「加茂」優先だったので稽古不足の感が否めません。
今日もやっていてなんとなく勢いがないかなという感じがしたので、途中から少し速めに動くようにしてみましたがこれが裏目。
師匠から「早笛はあんなにどっしり出てきたのにあとの動きが速すぎる」と。

監督のご宗家からは「健康的な黒塚」とのお言葉。
僕自身稽古していて感じるのですが、舞っていると楽しくなってしまうのです。
でも「黒塚」って楽しい曲じゃないはず。
いろんな解釈ができる曲ではあるけれど「しめしめまんまと罠に引っ掛かった。これで遠慮なく人間を食えるワイ」というのは今回僕が目指そうとしている方向ではありません。
「大江山」ほどではないけれど、裏切られた悲しみ恨みみたいなものが出ればと思っています。
それでも僕は舞っていること自体が楽しいのです…。

前に稽古している最中に、もっと恨む感情をもたなくちゃなと思い、そういう感情を呼び起こそうとしたのですが、思い出そうとしてもちっとも出てきませんでした。
ずいぶん幸せな人生を送ってきたんだな…とひとり苦笑してしまいました。
28年生きてくればそういう感情はそれなりの回数体験してきたはずなのですが、そういう感情に限りどうもひどい健忘症らしいのです。
よいことなのですが、役者としては不幸です。。。

帰りがけ先輩方からは上半身だけで舞っているとご指摘をいただきました。
そういえば以前より足腰が疲れていません。
稽古の賜物かと思いきや単に使っていないだけだったのです。
帰り実家に寄って意識してぐっと腰を沈めてみると、うっ、つらっ!

もう当日まで2週間を切っているというのに課題が山積。
でも今日でもう一度エンジンがかかった感じがします。
催しが多くて覚えなくてはいけないことだらけですが、当日までに最低あと50回、ひたすら舞いまくりますっ!



  1. 2006/09/05(火) 23:18:06|
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鵜祭

渋谷のセルリアンタワー能楽堂で催し。
珍しい2部構成で、「鵜祭」「国栖」の順です。

まず「国栖」の舟を完成させなくてはいけません。
大方出来上がっているので、あとは引廻しをチクチク細かく縫っていきます。
この前「道成寺」で鐘を縫ったので外科縫いも上達してきたな♪と悦に入っていると、先輩が
「これ、表まで貫通してんじゃん」と。
ひゃー、いくら裏側が上手くできたつもりがこれじゃ元も子もありません。
さすが歩くおっちょこちょい。
我ながら見事です…。

でも時間が充分あったから笑い事で済まされましたが、切迫した状況でやったりしたらえらいことになってました。
どんな世界でもそうでしょうが、当たり前のことを当たり前にやるというのは非常に大事なことです。
このおっちょこちょいさは能楽師には無用なのですが…。

簡単に「鵜祭」のあらすじ。
能登の国、気多(けた)明神に勅使が赴くと、雪の中歩いている女の一行に出会いこの神社の由来を聞く。あまりに詳しく語るのを不審に思って名を尋ねると、自分は神であるとほのめかして女は消えてしまう。やがて八尋玉殿(はちじんぎょくでん)の神と気多明神が現れ勅使のために舞楽を奏する(楽の相舞)。その後、鵜を生贄とする神事を見せたのであった。

会の最初に解説がありました。
豊臣秀吉と同時代の金春宗家である金春安照(太夫といったほうが正確か?)がこの曲についての記述を残していて、ツレは4人出ていたそうです。
また後シテは悪尉にして男の神の姿でもよいのだそうです。
この神様は軍神という側面もあるそうでその方が趣旨には沿うようですが、ビジュアル的な点から現行の形に移行していったのでしょうか。
ちなみにシテとツレが相舞するというのはよくあるパターンですが、女姿がシテ男姿がツレというのはこの曲だけだそうです。
なるほど楽の相舞は「富士山」「源太夫」などもそうですが、いずれも男がシテです。

この曲上演時間は100分ほどかかる長い曲ですが、後半は華やかで見ていてなかなか面白かったです。
一畳台が大小前に2つ並んで出るので舞うのは大変そうですが、相舞も親子だけあって息がよく合ってらっしゃいましたし、鵜の役である子方も可愛らしかったです。
子方は早笛で出てきて舞働を舞い、キリの途中で幕に入ります。
ちなみに生贄なんていうと悲劇的な響きに聞こえますが、脇能ですのでそんなことはなく、目出度くまとめてあります。
出番は短いですが、詞章的にも無邪気な感じがよく合うところですし、子方がこの曲で一番オイシイ役柄かもしれません。



  1. 2006/09/03(日) 23:20:09|
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宮城へ

朝6時起き。
今日は宮城県で催しがありました。

能は「羽衣」で、装束・道具は分担して持っていくことになりました。
僕の担当はワキ方が使う釣竿。
ワキ方が使う道具でも装束以外はシテ方が持っていくのが能楽界の慣習なのです。

時間は充分余裕があったはずなのですが、なぜかギリギリの時間になってしまい、携帯で調べてみるとこのままいけば東京駅に着くのが新幹線の発車4分前。
こりゃいかん!と新宿駅で1メートル以上ある竿を持って猛ダッシュ!
ネクタイ姿に竹ざおを持って走る男。
この異形の姿に行き交う人の注目を集めてしまいました…。

走った甲斐あって1本前の電車に飛び乗り東京駅には8分前に到着。
やれやれ。

その車内。
JR東日本の新幹線は飛行機みたいに車内に雑誌が置いてあります。
パラパラ目を通すとお得な周遊券の案内が。
なになに土日きっぷ
…行って帰ってくるだけで普通に買うより4000円もお得じゃないか!
みどりの窓口のおねーちゃんなんにも言ってくれなかったぞー!

列車の切符事情には詳しいつもりがとんだ不覚…。
今後はこれ使おう。。。

居眠りしたり暗誦いたりしながら2時間ほど揺られ、古川駅に到着。
そこからマイクロバスで20分ほどで目指す会場に到着。

その後2時間ほどして開演。
が、お客さまが少ない…。
ざっと見て1000人近く入りそうな立派なホールなのにちょんぼり。
会場の方は非常に親切に応対して下さったのですが、広報のほうが…。
街でもポスターなどは見かけることがなかったし、チラシも会場に来て初めて見るという状況。
ちょっと残念。

帰りは師匠や先輩方にご馳走になって新幹線車内で打ち上げ。
地方公演の楽しいひとときです。
でも明日はいよいよ「鵜祭」の本番。
気合を入れて臨まなきゃ!



  1. 2006/09/02(土) 22:19:59|
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「国栖」の舟

昨日懸案の「鵜祭」の申し合わせがありました。
この曲、やってみると案の定長い…。
もうひと頑張りです。

もう1曲は「国栖白頭
こちらは非番なのですが作り物の準備があります。
普通作り物は当日に作るのですがこれは面倒なので前もって準備ということになりました。

それがこれ。
20060901234037.jpg

まだ骨組みだけなのでなんだかわかりにくいかと思いますが舟です。
これから棒地で固定し、左下にちょこっと写っている引きまわしでくるんでいきます。
(よくよく考えてみると舞台上では絶対にこの状況で出ることはないのでちょっとレアな画像かも)

流儀によっては笛柱あたりに舟を立てかけておき、そこに子方が隠れるという演出になるため舟ももっと平べったくて幅の広い舟になります。
金春流は子方がうずくまっているところに、舟を裏返してすっぽり隠してしまうのでこのように底が深い形状になっているのです。
試しに僕も中に入ってみましたが、入れるには入れます。
でもこの状態で数分耐えるのは絶対不可能ですが…。

今回の子方は6、7歳の男の子。
余裕ですっぽりです。

実際どういうふうになるかは日曜日のセルリアンタワー能楽堂にてご覧下さい。
まだお席はあるようですので…。



  1. 2006/09/01(金) 23:34:52|
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