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駆け出し能楽師の奮闘記
敷居が高いと思われがちな能楽の世界を、能とは関係のない家から飛び込んだ私・中村昌弘の奮闘を通じて少しでも身近に感じていただけたらと思います。

vs.女子大生

午後から講座へ。
向かった先は昭和女子大。
高校のときに音楽鑑賞教室とやらで人見記念講堂に来て以来です。

「伝統芸能の現場」という授業で、歴史文化科の3年生7名が対象。
今回は笛方の方が仕事を請けて、僕にも、ということで話がまわってきました。
今までひとりでしゃべるとかシテ方の先輩の補助というのはありましたが、三役の方と一緒にやるのは初めて。
それもほとんどやる内容もわからず、「適当に話を振りますから」と進行はほぼ彼任せの状態でした。

まず担当の先生とお話。
ご一緒した笛方の方は「私も彼も講座は慣れてますんで」と自信満々。
って、オイオイ~、僕も何度かやってある程度コツみたいなのはつかんでるきたつもりだけど、大学生相手って初めてだし、なにせどういう流れなのかよく把握できてないのに大丈夫なの~?とちょいと暗雲。。。

よくわからなかったのでとりあえず幾つかの講座道具を用意してきました。
小面、能面がたくさん掲載されている先代ご宗家の本、糸針、謡本。
ま、使わなかったら使わなかったで構わないやという感じで。

さて講座開始。
さすがにちょっと緊張します。
女子大生が相手だから、ってわけじゃなく人前で話すときはいつも緊張します、あんまりそうは見えないらしいけど。
考えてみれば妹と同じ学年だし、かつて塾で教えていた子たちもこの世代の子が一番多かったし、その点はあまり緊張することもないわけです。

とりあえず自己紹介をしてからはしばらく彼任せ。
「どうせ皆さん能なんかに興味ないでしょうから…」とかなり辛口に(っていうか結構毒混じりに)切り出していって、「じゃあ簡単に歴史を」と急に振られました。
このあたりはしゃべりなれているところなのですが、話しながら、今日はツカミが悪いなというのを感じました。
こういうときはこちらからの話だけだとなかなか変えられないので、実技へ。
笛を吹いてもらうように振ってみました。

少し雰囲気が変わったかなと思いましたが、まだもう一息。
もうこうなりゃ自分でやっちゃえ!ということで必殺能面作戦発動。
学生さんに掛けてもらい視野の狭さなどを体験してもらうものです。
小学生相手でこれをやると希望者がいっぱいで困るくらいなのですが、今日は指名して強制参加に。
これはだいたい盛り上がります。
だって洋服に能面ってギャグ以外の何物でもないですもんね~。

これ以降少し場が緩んできたので、笛方シテ方コンビを活かして神舞の一部、カケリを実演してみました。
笛のみで舞うのは初めてでしたが、やっぱりなんか妙。

カケリは普段大鼓をメインに聞いて、笛はアシライなので正直なところほとんど耳に入っていないのです。
アシライというのは、きっちり寸法がきまっておらずシテの動きに合わせて譜を伸び縮みさせて吹くこと。
とはいえ常寸というものはあるのですが、もうこの際気にせず思ったように舞いました。
上手く合わせてもらって助かりました。
一方神舞は普段から笛メインで聞いているので楽勝と思いきや、違和感ありあり。
普段、結構いろいろ聞きながらタイミングをはかっているんだなと痛感しました。

後半はだんだん掛け合い漫才みたいになってきて、なんとか少しずつ笑い声も聞こえるようになってきました。
一応今度の「胡蝶」の番組やら手製ガイドを持っていってあったので、最後に「もしよろしかったら終わったあとでこちらにどうぞ」と言ってみたものの、全体的に手ごたえが微妙だったので誰も取りに来てくれなかったら…と不安がよぎりました。
が、意外や意外。
なんと全員来てくれて、中には「2部持っていっていいですか?」という子まで。
これで当日来てくれるかどうかはわかりませんが、この反応をみてはじめてほっとしました。

実際に見てもらって、能楽ファンになってくれたらこの講座は大成功なんだけどな♪

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  1. 2007/01/26(金) 23:57:50|
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