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楽屋での戒め 

稽古会、研究生稽古、出稽古など稽古尽くしの日々を送っております。

火曜日、能楽史の講義がありました。
今回のテーマは金春禅鳳。
金春禅竹の孫にあたる人物で、能作品としては「嵐山」「東方朔」「一角仙人」「生田」「初雪」といった曲を作りました。
と、このあたりは前もって知っていましたが、知らなかったのは観世小次郎信光との関係。
信光は音阿弥の七男で大夫という立場にはありませんでしたが、幼い大夫を補佐し、実質的には座を担っていた人物だそうです。
こちらも「舟弁慶」「紅葉狩」「龍虎」「羅生門」「胡蝶」「吉野天人」といった作品を遺してします。

この2人は年齢も近く(信光のほうが4歳年長)、ライバル関係にあったそうです。
当時観世座は将軍お抱え的な立場にあり非常に勢力が強く、金春座はワキ方を引き抜かれるなど苦境に立たされたようですが、禅鳳はそんな中から座を盛り立て本拠地奈良から京都にその勢力を伸ばしていったそうです。
「嵐山」という曲は吉野の神が嵐山に現われるというストーリーですが、これも自分自身になぞらえているのでは?ということでした。

曲で見ても信光の華やかな作風に対抗すべく、それまでなかった男女の相舞を入れたり、「紅葉狩」に対して「一角仙人」を作ったり、「舟弁慶」に対して「碇潜」(これはまだ不確定らしいですが)を作ったりしています(でも実は「碇潜」って金春流で現行曲になってなかったりするのですが)。

また「毛端私珍抄」や「反古裏之書」といった伝書も遺しており理論家でもあったそうです。
このDNAは今の金春家にも受け継がれているのか、先代宗家信高先生は多くの文章を書いておられますし、現宗家安明先生は研究者も一目置くほどの研究論文を幾つも発表されています。

もう一つ「禅鳳雑談」というものもあります。
「雑談」は〝ざつだん〟ではなく〝ぞうたん〟と読み、芸談的な意味だそうで、この書は玄人ではない弟子が聞き書きしたものだそうです。
このなかに、
「楽屋入りの事。…さのみ物を喰ふ事…笑ふ事、あるべからず。楽屋などにて身をふらんし(不埒?)に持つ人は、必ず業次成者也」(一部漢字を当てました)
という一文が。
要するに、楽屋でばかばか飯を食ったり、笑ったりしてる奴はたいした芸のない奴だ、という意味です。
…すみません、悔い改めます。
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カテゴリ: 稽古

テーマ: 能楽 - ジャンル: 学問・文化・芸術

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世間一般では… 

3連休だそうですが、僕は仕事です。

土曜日は出稽古。
手首を骨折した子が復活。
もう全然大丈夫とのことで仕舞の稽古を再開することになったのですが、さてなににしよう?
目先を変えるということで…「舟弁慶」キリ
僕も覚えがあるのですが、子方で判官をやっていると長刀を振り回す知盛の姿に憧れるものなのです。
「やる?」と聞いたら二つ返事で「やる!」とのこと。
早速、長刀持ってみたのですが、腕も足腰もまだ厳しい様子。
しばらくやってみて、「高校生くらいになったらやってみようか?」ということで本人も納得した模様。
結局「加茂」にしました。
こういう強いものってあんまりやったことがなく、構えを大きくしたらそれだけでヨロヨロ。
今は背が伸びて筋力が伴ってない時期だというせいもあると思いますが、しばらくこれでしっかりした足腰を養ってもらうことにします!


翌日曜日は定例能。
まずは「三輪」の中入お手伝い。
この曲は作り物へ中入し着替えをするので、後見2人のほかに次着る装束を渡したり脱いだ装束をまとめたりする人が必要になります。
最初この役をしたときはそれは緊張しました。
普通に幕に入ったときでも戦場になるのに、窮屈なスペースでやらないといけないのでかなりピリピリした空気に包まれます。
そのため、次に着るものでないものを渡したときなど火の出るような目で睨まれます…(舞台上なので声や手は出ませんが)。
今回は何事もなく終了。
でもいつも思うことですが、どのタイミングで帰ったらいいのかが難しいです。
目で合図してくれることもあるのですが、今回は副後見が早めに後見座に戻ったので、床几を持って出たまましばらく大小の後ろに控えていました。
これはケースバイケースなんでしょうね。

そして、トメの「小鍛冶」の地謡。
珍しく後列です。
申し合わせのときはかなり勉強不足でしたが、当日はちゃんと謡えた…と思います。地頭が師匠だったのであまり探ろうとせず思い切って行くよう心がけました。
しっかし、前列と後列ってたった1メートル弱動いただけなのにこんなにも感覚が違うのってなんででしょう???

それとひとつ正夢が。
「小鍛冶」の一畳台にしめ縄を張っているとき。
4本の竹の棒を釘で台に打ち付けるのですが、2本釘を曲げてしまい四面楚歌の大ブーイングを浴びました。。。
この程度で済んでよかったというべきでしょうか?
祖父・父と続いた会社はネジやら釘やらを作っているのですが、継がなくて正解だったんでしょうかねぇ。


そして今日も舞台。
「土蜘」の後見。
3人後見の一番下だからラクなんじゃ?なんて思ったら大間違い。
「道成寺」みたいな曲ですとハクをつけるため3人にしたりしますが、これは単に必要だから3人いるということなのでした。。。
人数物で楽屋は結構慌しくなりましたが、来年とある会でもやる予定になっています。
そのときは師匠と2人で後見。
かつ楽屋の人数も限られるので相当忙しくなるはず。
それまでに諸々のことをもう少し手際よくできるようにしておかないと。。。

カテゴリ: 舞台

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休み 

今日は国立の稽古でした。
…が、休みました。
別に仕事があったわけでも風邪ひいたわけでもなくて。

昨日あたり、このぶり返した暑さのせいか疲労がピークになり、謡本を見ても全く頭に入らない有様。
3行進むと居眠り、はっと目が覚めてもまた居眠り…なんてことの繰り返しでした。




ある舞台。
僕は地頭。
でも途中で大間違い。
楽屋に帰ってくると上から下から四面楚歌の総攻撃。
必死で僕は何か叫ぼうとしましたが、まわりの一人が
「そんなの言い訳だよ…」
と。

恐ろしい夢でした。
でも自分自身の心理状況そのものだったのかもしれません。


2ヶ月ほど前から左膝に違和感があったので、体をほぐすのも兼ねてカイロへ。
やっぱり脚が相当張っていたようです。
でも1時間の施術でだいぶラクになりました。

今日は何もせず雑誌読んだり、料理したり、昼寝したり、アイロン掛けしたり、謡本を一度も開かずダラダラ過ごしました。
おかげで疲労も抜け、精神的にもゆったりしてきました。


僕はもともと能は趣味でやっていました。
でも今は駆け出しであるにせよ一応玄人。
稽古は手段。
極論すれば、稽古がめっちゃくちゃでも舞台がよければそれでいいとも言えかねないのですが、僕はどうもその手段が目的のままになっているような気が。
つまり稽古のために稽古しているフシがあるのです。

足しげく国立に通い、研究生としての出席率は一番になり、そのため先生方から名前を覚えていただいたり、声を掛けていただくようにもなりました。
家の子でない僕にとってはこうしたことは非常に有り難いことです。

でもアイツは頑張ってるな、だけじゃプロとしてはお話にならない。
稽古した結果を舞台で出さないと。


昨日申し合わせがあって地謡を謡ったのですが、明らかに稽古不足で言葉が出てこないところが数箇所。
こんなこともあってさっきの夢になったのでしょう。



先日ある囃子方と飲んでいて、
「ちょっと常識的過ぎますよ」
と言われました。
コツコツ稽古することは大事。
稽古量は少なくないほうだとは思っていますが、それでも充分だとは全く思いません。
常識的というのはどうもこのあたりを指しているようでした。

数年前銭湯で出会った彼は、自分の殻を破るために家出をしました。
傍から見れば大したことないことでも、彼にとっては大きな決断だったのでしょう。
僕の今日の休みもそれと同じだったのかもしれません。
彼がその後どうなったのかさっぱりわかりませんし、僕がこれでどうこうなるかとも思えませんけど。




とりあえず、精神的にも肉体的にもだいぶリフレッシュできました。
これから死ぬまで、考えて、悩んで、でもそれを楽しんで能楽師としての人生を全うしていこうと思います。

カテゴリ: 考えごと(能楽)

テーマ: 能楽 - ジャンル: 学問・文化・芸術

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写真撮影 

今日は写真撮影のお仕事。
先輩が受けた話で、なんでもその世界では著名なカメラマンさんが、間もなく海外で仕事をされることになり、その際日本的でインパクトのある写真が欲しいということで、僕は装束の着付けのお手伝いにいくことになった、というわけです。

でも着付けはまだまだ全然ダメな僕になぜ?ということになるのですが、実は出勤料が出ない、と。
その代わり好きな写真を撮ってくれて、それを自由に使ってよいということだそうなのです。
こういう仕事をしていると時折プロフィール用の写真が必要になるのでこれはいい機会!
それに装束の前をやらせていただける機会なんて滅多にないので、その点でも非常に有り難いこととなったのです。


会場は芝浦にあるすっごく立派なスタジオ。
大手広告代理店もよく使うそうで、芸能人もしょっちょう訪れるそうです。
中はまたすんごくてアルマーニのソファなんて、初めてみるようなものが置いてありました。

先方とご挨拶したあと、早速今日の撮影の段取りに。
装束姿は獅子と鬼の格好。
どんなシーンを撮るか決めていただくためまず「石橋」をざっとやることに。

早速着付け。
普通3人でやるものですが、着付けられる先輩に教えてもらい手伝ってもらいながら前をやり後ろをやりつつなんとか完成。
ふぅ。

舞は場所が狭いのでちょっと変則的な形式になりました。
実は細かいことは前日の夜になって初めて聞いて、「石橋と黒塚アシラえるようにしておいて」と。
イノリはともかく、獅子は唱歌以外ほとんど知らなかったので結構遅くまで必死に稽古してきました。
ま、シテ方のアシライなのでざっとではありますが、なんとか間違えず済みました。
やれやれ緊張した。。。

ま、いろいろ撮影したのですが、結局使う部分は頭と顔で、頑張って着付けた部分は写らないそうで。
残念なような、助かったような(笑)

3時間ほどで装束の撮影は終了。
今度は紋付に着替えて僕も撮影していただけることに。

いやー、慣れない。
カメラの前に立ってどうしたらいいのかわからない。
場の雰囲気が非常に楽しくて、ただでさえ締まらない僕の顔は緩み放しで撮っていただいた写真の8割が笑っているのばっか。
カメラマンさんもさすが、笑った瞬間をとらえるんですよね。
ご自身もつられて吹き出していたのにそこはプロ。
ばっちし撮ってます。

その後なぜか私服の写真も撮っていただいたのですが、
「パパっぽい」
というのが皆さんの感想。
なんか〝シャツ2990円〟、なんて感じでユニクロのCMに使えそうな感じです(当日着てたのはユニクロじゃないけど)。

さて一方の先輩。
撮られ慣れしているので堂に入った様子。
ビジュアル系能楽師(?)なのでキレイな写真が出来てきます(すぐモニターでチェックできるようになっています)。
でもご本人調子が出てきたのか、だんだん表情が作為的に。
まわりもそれに応じて
「ヤラシイ」
「笑顔がこざかしい」
「ナルシストっぽい」
とか、辛らつな評が飛び交います。
それまで黙々と撮られていたカメラマンさんもついに
「…いやらしい」
と、ぽつり。
一日にこれだけいやらしいと言われたのは世界広しといえども先輩くらいなもんじゃないですかねぇ(笑)

でも最終的に出来上がったものは、キレイな表情になってました。
そのうちお目見えするはずです。

なお僕のパパちっくな写真は…


お蔵入りです。。。

カテゴリ: 舞台

テーマ: 能楽 - ジャンル: 学問・文化・芸術

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社中強制移転? 

先輩ご社中の発表会に出勤。
能1番、舞囃子1番に仕舞や独吟数十番という番組。
この会の特色は番外仕舞が最後に数番あるのですが、これが大変。
今回はめちゃくちゃ遠い曲というわけではなかったのですがそれでも大変。
数年前僕も、頭真っ白という恐怖を味わいましたし。。。


終わって場所を移動し打ち上げ。
17時スタートで終了は19時。
今日出勤した各先生が拍手で送られるなか、僕はなぜか居残り。
さて帰ろうかなと思ったのですが、「あ、きみはいいから」と主宰の先輩。
僕、どこの社中なんだろ?
強制的に(でもないな)二次会へ。

面識のある若い人が多く、話も盛り上がってついついお酒も進んでしまいます。
気がつけば23時過ぎといういいお時間。
でも調子に乗りすぎてしまったかな…と反省。
なぜか僭越にも〆の挨拶までさせていただいてしまったし。
二次会一連のことは酔っ払いの戯言としてどうか流して下さいまし。。。

カテゴリ: 舞台

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芝居な一日 

宅稽古を終えたあと、友人が所属する劇団の芝居を観に行ってきました。
彼は最近ちょこちょこテレビの仕事もあるようで、今はNHKの朝の連ドラに板前Aみたいな役でレギュラー出演しています。

さてその芝居。
今回初めてオリジナルの脚本で臨んだとのこと。
なるほどコワモテだけどお茶目的な彼に向いたキャラクターになっていました。

チラシで最初に名前が書かれていたので、主役か?と期待して行ったのですが、中盤から出なくなったなぁと思っていたら死んじゃったことになっていました。。。
せっかくだからもうちょっと観たかったなぁ。

芝居自体については…、
まぁ面白かったかな、ってところ。
最近ちょくちょくこういった舞台を見ていて、いろんな点が絡み合って最終的に収束していくというのがパターンとして見えてきましたが、しきらなかったかなという感じ。

ただ、6月に観に行った舞台が非常に素晴らしかったのでそれ以降のものは評価が厳しくなっているかもしれません。
あれだけ頭が鈍い痛みに襲われる舞台というのはなかなか体験できないものだったので。


その後下北へ買い物へ。
靴を買いに行くと店員の対応がオーバーアクションでまるで芝居。
服を買いに行くと子供が棒を手に即興と思われる曲を熱唱。
どこまで芝居だったんだかわかんない一日でした。

カテゴリ: 日常

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今週は 

ご無沙汰しておりました。
ちゃんと生きてます(笑)

忙しいことも確かにあったのですが、ここ数週間休みがなく空いた時間はボケーっとしてしまうことが多くなり更新が滞ってしまいました。
この間ご訪問いただきました方、申し訳ありません。

さて振り返ってみますと、今週も月曜から金曜まで国立通い詰めでした。
多くは稽古や講義(小鼓×1、大鼓×1、太鼓×2、講義×1)でしたが、舞台も1つ。
他は出稽古、研究会がありました。


さて、こう溜め込んでしまうと何から書いてよいものやらわからなくなってしまいますが、今週一番心に懸かっていたのが「葵上」
今月末このツレのお役をいただいていて、研究会でやらせていただきました。
数年前に一度勤めたことがあるので謡は頭に入っていましたが、結果は…。
翌日にあった稽古でも師匠から相当に課題をいただきました。

この曲のツレはシテ六条御息所の生霊を呼び寄せる巫女。
最初に梓の弓を引き(舞台では大小で表現します)、呪文(でいいのかな?)を唱えます。
重くなりすぎてもダメ、軽くてもダメ、それでもってちょっと怪しげな雰囲気がでないといけないという謡です。

この役、最初に出てきて座り、途中ばっと立ち、また最後まで座っていないといけないので、最初に勤めたときはとにかく立て!というのが至上命題で、周りの期待度としては謡はちゃんと間違えないで謡えばよし(が、本番間違えてしまったのですけど…)という感じだったのですが、今度はそうはいきません。

課題は明確に見えているのですが、それを克服する術はなかなか見えてきません。
自分なりにいろいろな謡い方をしてみたりしたのですが、変な体勢で謡ったためか首が痛くなってしまいました。
30日が本番なので、とにかくその日には結果を出さねばなりません。
苦悩の日々は続きます。。。


その研究会の日の夜、舞台がありました。
囃子方主催の会で、舞囃子「三輪」「藤戸」の地謡でした。
2番とも地頭は師匠でしたが、かなーり濃いものでした。
合わせて30分ちょっとくらいだったと思いますが、終わってどっと疲れました。。。

この日の番組の最後に能「井筒」がありました。
シテは現代能楽界で名手と名高い友枝昭世師。
実は過去にも一度、師の「井筒」を拝見したことがあります。
正直なところそれまでこの曲ってあんまり好きじゃありませんでした。
数あるなかでも名曲と言われ、確かに謡はキレイだけど、なんだか業平サマ、好き好きすきー!ばっかしでちょっと単調なんじゃ?なんて思っていました、エラそうにも。
が、拝見するとその思いは一変。
この曲は「見れば懐かしや」のこの場面のためだけにそれまでの100分ほどの時間を積み重ねてきているんだ、と強烈に感じました。
終わってもしばらく立てないような衝撃を受けたのを今でもよく覚えています。

見所が満席だったので地裏で拝見したのですが、やはり素晴らしい舞台でした。
前半の動きのない部分では微動だにせず磐石な姿勢で、僅かに動けばそこに景色がありありと描かれるよう。
後場、例のクライマックスのシーンはそれまでの抑制が一気に開放され、なんだかとても切なくなってしまい、気がつけばちょっと涙してしまいました。

「井筒」という曲を美しく舞うということは、能楽師にとって生涯をかけるべき課題であるといっても過言ではないでしょう。
僕もあと10年後くらいには挑まねばならないときがやってくると思います。
今からこんなことを言ってはなんですが、たぶん一度目は木っ端微塵に打ち負かされてしまうことでしょう。
でも生涯一度は、金春流らしい「井筒」を、自分が納得いくよう勤めることができたらと思います。

カテゴリ: 稽古

テーマ: 能楽 - ジャンル: 学問・文化・芸術

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泣かせる舞台 

さて今日は先日申し合わせをした舞台の本番。
曲目は「生田」「竜田」「殺生石」の三番でどれも作り物が出ます。
でも予め「生田」の藁屋は申し合わせのときに作っておき、「殺生石」の石は国立は出来上がったものがあるのでてんやわんやというほどではありませんでしたが、「竜田」の宮を作ったり開演前諸々バタバタとやっていました。

今回の作り物は前2曲が引き廻しといわれる布を掛けた状態で舞台に出します。
このように似た作り物が出ると、この引き廻しの色も被らないよう注意しなくてはなりません。
「殺生石」は既に紺色でできているのでこれを避け、シテの要望を聞きながら今日は「生田」が萌黄、「竜田」が紫のものになりました。

さてまず「生田」。
始まる前ワキ方から「子方、稚児じゃないの?」と聞かれました。
他流のを拝見したことがないので、角帽子に数珠を持ったちいちゃなお坊さん姿しか知らなかったのですが、なるほどそういう演出もあるんですねぇ。

その小さなお坊さんが幕から出てくるとお客さまの目は完全に釘付けです。
さすがに舞台上ではまじまじと見るわけにいかないので、みんな目を動かさず視界の端で追うような感じ…だったと思います。
子方が亡き父敦盛に夢でもいいから会いたいと健気な願いを口にすると、脇正に座っていたご婦人のご様子が…。
涙が止まらなくなってしまったようで、しきりに目を拭っておられるではありませんか。
うーむ、子方初舞台で泣かせる謡を謡うとはスゴイ!

最後まで見事に舞台を勤めて無事終了。
幕に帰るときもすごく丁寧にしずしず歩いていて、終わったあとそのことを本人に聞いてみたら、
「おばあちゃん(シテ)に追いついちゃいけないと思ったから、ゆっくり歩いてみたりいろんな歩き方してみた」
とのこと。
ほんと、落ち着いてるなぁー!

藁屋の解体をしているとすぐに次の予鈴。
「竜田」は約90分。
初番は短かったとはいえあわせてゆうに2時間以上座っていたことになりますが、今日は割と余裕がありました。
食堂がいつものおじちゃんじゃなくて、茶碗で(普段はどんぶり)ご飯よそってくれたせいだな、たぶん。

トメは非番だったのですが、〝石押さえ係〟の片側を仰せつかってクセのあと舞台へ。
要は作り物中での物着(着替え)をする際に作り物が倒れないように押さえておくだけなのですが、爪立てで(仕舞はじめの座り方)十数分座っているのは案外大変でした。

物着が終わり切戸に引こうとすると、あれ?
切戸前にワキが使った払子が。
実はこの曲、能で見るのは初めて。
コレ、ここにあるってことは引いていいのか?と思ったのですがなにぶん自信がなかったのでそのままに。
でも冷静に考えればもう使わないはず。
師匠のお父様にもお聞きしたところ、やはり引いていい物でした。
とはいえ中途半端に出て行くこともできないので、結局石を引くときにその影で引きました。

こういうことは申し合わせではやらないので実際に舞台になってみないとわかりません。
やはり舞台に勝る勉強はありません。

カテゴリ: 舞台

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まなざし 

今日はいつもより早く、朝から出稽古。
だったのですが、一番最初の方が急遽お休みになりまちぼうけ。
その後もパタパタお休みで結局4時間居て、2人・計1時間のみ。
しばらくは自分の稽古をしていたのですが、あまりに時間を持て余してしまい寝転がってワンセグで風林火山の再放送見たりしてました。。。

うち1人はこのブログでもたびたび登場する5歳の子。
今日から「安宅」の仕舞。
まず最初の一句〝鳴るは滝の水〟の謡のお稽古なのですが、小さい子は謡本なしに鸚鵡返しのようにしてお稽古します。
が、これが大変!
普段仕舞を舞うときや、直面で舞台に立つときは、たとえお客さまと目が合ったとしても、決して自分から目線を切るのではなく、お客さまに目を逸らさせるくらいでないとダメだと言われているのですが、これは無理。
無垢な瞳でそんなにじーっと見つめられるとさすがに負けます。
どうも子供には弱いな僕は。。。
(まー、今に始まったことではないけど)

昼過ぎに帰って宅稽古。
別に忙しかったわけでもないのに、電車に乗った途端猛烈な睡魔が。
…。
ふと気がつくと降りる駅。
あ!と思ったのですが、これでダッシュで立ち上がろうとするとドアに挟まれる危険性大なタイミング。
一か八か立ち上がって下り損なうと次の駅までものすごーくいたたまれない感じになってしまうので、諦めて次の駅まで行って歩いて戻ることにしました(駅間が短く徒歩数分なので)。
すると、ここ7年も会ってない人に偶然ばったり。
怪我の功名です♪

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出演予定 たぶん今年最後の追加 

11月11日(日) 「恋重荷」ツレ
  金春会定期能 於:国立能楽堂
  12時30分開演 「鶴亀」「三輪」と狂言一番のあと
  全席自由、一般5000円

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通い詰め 

今日も国立へ。
日曜は舞台なので結局この1週間のうち6日間通うことになります。
税金をずいぶん有効に使ってるなぁ。
でもこれで上手くならなかったら税金泥棒って言われちゃうんだろうな。。。

今日は謡が「生田」と大鼓「当麻」
どちらも一般的に近いとはいえない曲。
能楽界の重鎮である先生方をしても稽古前一度謡本をじっくり読み込まれていました。
しかし裏返して言えば、一度ざっと見ただけでパパッと稽古をつけられるのだからやっぱりスゴイです。

僕が先生方の年齢に達する頃はそういうレベルになれているかなぁ。

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予兆 

午前中、台風が接近する前に床屋さんへ。
チョキチョキやってもらっていると、突然手を止めて不思議そうに僕の頭を見ています。
「ここだけなんか変ですね。。。」
と。
頭頂部からちょっと前のあたりに短く痛んだ髪が密集して生えてるところがあるのだそうです。
さらにショックなことにシャンプーしてもらったあと、一時的にオールバック状になった生え際を見ると…、
 ずいぶん進行しちゃってない?
まー両祖父はほぼ髪がなく、父も決してあるほうではないという家系に生まれてしまった以上覚悟はしているんですが。。。
でももうちょっとあがいてくれ、我が髪!!


装束出しが終わって、申し合わせへ。
「生田」「竜田」の地謡。

「生田」は他流では「生田敦盛」とされることが多く、滅多に出ない曲だそうですが、金春禅鳳が作ったということや近年まで「敦盛」が復曲されていなかったことなどがあってか、金春流ではよく出るとまでは言わないまでもそう珍しいということはありません。

この曲は子方がとっても大変。
謡の量が多くかつ拍子合の部分もあってかなり稽古をしていかないとうまくいかないのです。
今回の子方は先輩の娘さん。
実はこの舞台が子方としては初舞台。
でも楽屋で緊張する様子もなくニコニコしていました。
(たぶん本人以上におばあちゃんであるシテを勤める先生と、後見座にいるお父さんである先輩のほうが緊張されていることでしょう)
舞台上でも小さな体で頑張って大きな声で謡って、実に堂々たるものでした。
幕から出てくるとあまりにも可愛らしくて不覚にも地謡座でニヤついてしまいましたが(←怪しい)、これで本番はたぶん大丈夫だと思います、というかニヤつかないようにします。

「竜田」は能の地謡をするのは実は初めて。
そんなに遠い曲ではなく自分でも意外だったくらいなのですが、なぜか今まで謡う機会がなかったようです。
結構分量が多く、かつなんとなく覚えにくい感じ。
(金春流の偉大なるご先祖さまながら、金春禅竹さんの曲は覚えにくいのが相場です。。。)

今日は久しぶりに地謡のハナだったのですが、謡っていてすごく楽しかったです。
上に7人いるので気楽だし、包まれるような安心感があったからでしょうか。
当日もっと楽しめるよう、もうひと頑張りです!

カテゴリ: 舞台

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トラップ 

午後国立で稽古。
夏の課題となっていた「大会」
後場をようやっと覚え、太鼓も危ういながらもなんとかパスしました。

今日は「能楽史」の講義もあったのですが、時間の都合でやむなく欠席。
始まる前、以前にもちらと書いた勉強好きな男の子が、
「カブトムシ見つけたんで、妹に見せようと思ってとってきたんですよ~」
と、小箱に入ったのを見せてくれました。
歳が離れていて妹さんはまだ小学生だそうなのですが、しっかしまぁなんていい子なんだ、彼は!
ちょっと年上だけどうちの妹もらってくれないものかなぁ。

そして研究会へ。
「葵上」の地頭、「天鼓」「忠度」「経政」の地謡でした。

が、地頭は撃沈。
間違えるとすればここしかないなというところで見事に間違えてしまいました…。
始まって間もなく予想外のことが起こり、こりゃしっかりせねば!と変に自分にプレッシャーをかけてしまったのがよくなかったかもしれません。
トラップの箇所に集中しきっていないまま入ってしまって、そこに達した途端しまった!と思ったのですが、時既に遅し。

でもこれで意気消沈していても始まりません。
次の修羅物2曲は以前、例の国立の稽古で一人で謡ったこともあるので思い切って謡いました。
ただ思い切りすぎて少し地頭に迷惑を掛けてしまったかもしれませんが。
最後にこうガーッと謡ったものの、やはり、やっちまった…感が大きい研究会でした。。。


でも、これで二度と間違えん!!!

カテゴリ: 稽古

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出演予定 さらに追加 

12月16日(日) 「清経」ツレ
 仙台市市民文化事業団主催公演
 於:仙台市青年文化センターシアターホール
 14時開演 自由席:1,000円



ごめんなさい!
12月8日(土)の間違いです!
先生有り難うございました。

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特別公演(「橋弁慶」「道成寺」)受付初日 

舞台も稽古もないのですが、7時前に起床。
今日は12月に行われる円満井会特別公演の一般販売開始日で、事務所に電話番のお手伝いに行くことになっていたのです。
外出がしにくいと思い、久々にお弁当を作り(鮭弁当。我ながらなかなか美味かった)、出発。

10時から受付開始だったので、その前に残券と空席をしっかり照会。
それが終わるや否や、引っ切り無しに電話が鳴り続けました。
30分で約20枚ほど売れたのですが、そこからはしばらくピタッととまりました。
あんまり急に来なくなったので自分の携帯からかけてちゃんと繋がっているか確認したほどです。
結局それからは30分から1時間に1本くらいのペースになりましたが、30枚近く売れました。
各席残席僅少ですので、ご希望の方はお早めに金春円満井会までお申し込み下さい。
なおこのコメント欄〝管理者のみに通知〟でもお申し込み承ります。
その際は必ず連絡先をご記入下さい。

昼ごろに事務長が出勤。
陣中見舞いということでケーキを2コもいただいちゃいました♪
割と甘いもの好きなのでペロリと平らげたのですが、クリームたっぷりのモンブランとショートケーキはあとで結構胃にきました。。。
ときどき「甘いものは別腹」と親の敵を取るかのように食べまくる女性を見かけしますが、そういう方ってケーキ分解酵素でも分泌できるんでしょうかねぇ???
…まぁかくいう僕も「焼肉は別腹」なんて言ってますが…。

夕方電話も収まってきたので帰ろうとすると、外でものすごい音が。
出てみると、事務所下にある看板はぐにゃりと曲がって、それに突っ込んだと思われる車はフロントガラスがだいぶやられてました。
が、驚いたのはもう一方の車。
片側一車線ずつある道をふさぐようにトラックが横転してるじゃありませんか。
程なく運転手さんが潜水艦のようにドアを開けて出てきて、その上に仁王立ちし携帯で電話。
あまりに見慣れない光景に思わず口をあんぐり開けて見入ってしまいました。。。
携帯で撮ろうかなとも思ったのですが、ちょっと不謹慎かなとも思い断念。
ま、双方の運転手さんともとりあえずほぼ無傷のようだったのでほっとしましたが、ちょっとびっくりな一場面でした。

カテゴリ: 日常

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