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駆け出し能楽師の奮闘記
敷居が高いと思われがちな能楽の世界を、能とは関係のない家から飛び込んだ私・中村昌弘の奮闘を通じて少しでも身近に感じていただけたらと思います。

「乱」終わりました

「乱」が終わりました。
お越しいただきました皆様、ありがとうございました。

僕は幕の前に立つまであまり緊張しないほうですが、今日はいつも以上に落ち着いていられました。
装束を着けていただいて鏡の前に座っていると、なんだか嬉しくて顔がしまりません。
面をつけてもあまり変化がなくておかしかったくらい。
でも、皆さんから「よろしく!」「がんばれ!」なんて声を掛けていただくと、だんだん嬉しい気持ちが昂ぶって面の中で涙があふれてしまいました。
きれいごとではなく、今こうして披きを迎えられるのはまわりの皆様のおかげなのだとひしひしと感じられました。

鏡の前に座っていながら、泣いているはずの自分の表情も面で見えず、またその面は笑みをたたえているというのはとっても変な感じ。
猩々の面の笑みにはいったいどこまでが含まれているのでしょうか?

舞台は自分としては今持てる力は全て出し尽くせたと思います。
稽古はやれるだけやってきて、もっとしておけばという悔いはありません。
ただしそれは自分の芸がそれで充分であるということでは全くありません。
終わって楽屋に戻ってすぐ厳しいご指摘もいただきましたし、自分で映像で見てみるとこうしたほうがいいなという箇所は幾つも出てきました。
よくやったと自分に少しだけゆとりを与えてあげるのは、ほんの、ほんの一瞬。
ひとつの舞台が終われば、すぐもう次の戦いは始まります。



披きというのは懸命に稽古して、それを舞台でぶつけることができれば知らず知らずのうちにひとつ上のステージにあがれるものなのかなとぼんやりと思っていましたが、それは違いました。
終わると今まで見えなかった課題が見えてくる、というだけ。
上に行けるかどうかはこれからの頑張り次第ということのようです。

とにもかくにも、
ありがとうございました!!

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  1. 2009/11/29(日) 01:20:27|
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