この催しは障がいをお持ちの方にも能楽を楽しんでいただけるようにとの企画で、今年で12回を数えるそうです。
今回解説をさせていただいたのですが、字幕、手話通訳があるため事前に原稿を提出し、それに沿ってお話をするという仕組み。
それも、当初の予定はおととしの3月、つまり震災直後だったものが今日に順延されたものとなり、解説も2年以上前に提出したものでした。
いろいろ解説や講座をさせていただいておりますが、原稿を見ながら、その通りに喋るというのは初めてで、かつゆっくり、時間通りにというのはなかなか難しいものでした。
喋りながらここはこういう説明を加えたほうがわかりやすいかなとか、反応的にここを膨らませてなんて思いがめぐるのですが、今日はぐっとこらえて極めてシンプルなお話しにしました。
さてこの催しですが、とてもいい試みだと思います。
能楽はあらゆる方に楽しんでいただける芸能であるべきだと思いますし、障がいを持った人を題材とした能もあります。
たとえば、視覚障がいでは「蝉丸」「弱法師」があります。
どちらもとても清らかな心を持った魅力的な人物ですが、実際障がいをお持ちの方から教わることもあるのではないかと思います。
また感覚の鋭さという点でも、ある部分一般の方より厳しい眼や耳、心でとらえていただく可能性もあります。
ちょうど最近流儀のなかでも、障がいをお持ちの方が会にいらっしゃった時にはどのような対応をすべきかと議題に挙がっていました。
しかし、施設のハード面でも、対応といったソフト面でも、費用的な面も含め、流儀や個人主催ではなかなか実現は難しいです。
ただ、体験型講座で、障がいをお持ちの箇所がある程度同じで、かつそうした対応が可能な施設に出張して行うことができればぐっと実現可能性は上がっていくのではないでしょうか。
ひょっとすると、障がい者施設側では能なんて考えたこともない、とおっしゃられるかもしれません。
でも、講座のプログラムをお互いよく考えれば決して不可能なことではありません。
むしろ私たちにとっても能楽の可能性を見つめなおす、いい機会になるのではと思います。
僕も今後そうしたところにも提案をさせていただきたいですし、そうした方からもご要望をいただければ嬉しいです。
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