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駆け出し能楽師の奮闘記
敷居が高いと思われがちな能楽の世界を、能とは関係のない家から飛び込んだ私・中村昌弘の奮闘を通じて少しでも身近に感じていただけたらと思います。

子供たちも成長して…

能楽教室教材

今月から子供たちのお稽古は新しい曲に入りました。
謡は、11月末の先生と僕のお弟子さんたち国立能楽堂研修舞台での発表会に向けて「橋弁慶」を。
謡本にして3ページ強ありますが、無本でやってもらう予定です。
「あのさ、学校の勉強もあるし、他に習い事だってあるんだからさぁ、こんなに覚えきれないよ」
などとナマイキ言う子もいますが、やってみればちゃーんと覚えてきます。
頭が柔らかいうちにいろんなことをどんどん覚えて絶対損はありません。

ただ、稽古は脇道に逸れたのを直すのが大変…。
謡は本を見ずに、一句ずつ耳で覚えて謡わせているのですが、「しさって肝をぞ消したりける」が「きーっさーてん」に聞こえたらしく、「弁慶と牛若丸喫茶店に入って仲いいじゃーん」と思いもよらぬところで笑い転げたりしてました。

仕舞は、来春の西河原公民館での発表会に向け、低学年が「羽衣」キリ、高学年が「花月」キリ、中学生が「天鼓」に挑戦しています。

動き方の図を加えた教材を毎回作っているのですが、今回は量が多くてなかなか骨が折れました。
子供たちに見せたところ、開口一番「ながっ!!」と。
でもやってみるとわりとスイスイ進んでいきます。
一番最近入った子でも、もう3曲上げたので体で応用が利くようになってきたようです。

謡仕舞だけじゃなくて笛・小鼓までやっているのだから、子供の脳というのはやはりすごいですね。
大人にこんな稽古したら、ひっくりかえること間違いありません。

さあ、こどもたちの底なしのパワーに負けないように頑張らなくちゃ!


狛江能楽教室
http://blog.goo.ne.jp/komae-nougaku/e/5f3b12244368650fd7f405dd1e020e3d

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  1. 2013/06/21(金) 23:50:27|
  2. 稽古|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:0

7月1日 奈良・藝育カフェ講座

近鉄奈良駅から徒歩7分の藝育カフェさんで講座をさせていただくことになりました。
奈良へは舞台で時折伺いますが、講座は初めてです。
奈良が舞台になっている曲はたくさんありますし、またカフェという場で気軽に能を体験してもらえるような講座を目指したいと思います。
いや~、楽しみ♪

日程:7月1日(月)19:30〜22:00
参加費:¥1,500(晩ごはんセット ※講座のみ・食事のみは不可)
定員:20名(くらい)
★お問合わせ・参加お申込みは sankaku_in_nara@yahoo.co.jp まで

お店のHP http://aalabo.com/
お店のフェイスブックページ https://m.facebook.com/photo.php?fbid=385287954912847&id=135680653206913&set=a.201865989921712.40663.135680653206913&refid=17&ref=stream
(いきなり大きな僕の顔写真が出てきますのでご注意)



  1. 2013/06/20(木) 15:10:44|
  2. 出演予定|
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  4. コメント:0

6月29日 円満井会定例能「高砂」

6月29日定例能番組

今月末、6月29日(土)12:30より、神楽坂の矢来能楽堂で「高砂」のシテを勤めます。

老夫婦の日本人形や、かつて結婚式でよく謡われた〝高砂や~〟など最も馴染みのある能かもしれません。
今回は地頭に家元、後見に師匠、ツレには一回り上の先輩と盤石な布陣を敷いてくださいました。
あとは僕が頑張るだけです!

他に、能「竜田」「小鍛冶」、狂言「名取川」、仕舞6番があります。
終演予定は17:45、途中入退場可、切符は全席自由で、一般5000円、学生2000円です。

ご希望いただけます方は、コメント欄〝管理者にだけ表示を許可する〟をチェックされ、メールアドレス等ご連絡先をご記入の上メッセージをお願い致します。
ご希望の方には、詞章とお手製ガイドをプレゼント!

ご来場をお待ちしております!!



  1. 2013/06/14(金) 09:36:25|
  2. 出演予定|
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  4. コメント:0

コラボレーションで得たもの

すっかり日が経ってしまいましたが、土曜日にコラボレーション舞台が終わりました。
1日2回のシテ、それも普段と違う空間ということで相当に疲れました。
帰り恐ろしいほど足が重く、普段なら10分ちょっとで歩ける道が30分近くかかりました。
それから今日までハードな日が続いてきましたが、明日は整体にでも行って疲れを抜いてこようと思います。

さて長きにわたった今回の舞台。
客観的に映像を見てみないとなんとも言えないところはありますが、2点新たな光が見えた気がします。

恋むらさき舞台

まず照明
能では原則として1曲の中で照明をいじりません。
もともとが野外で行われるものだった名残だと思いますが、舞台を明るく見えるようにするという以上の照明はなんとなくタブーのようになっています。
しかし今回やってみて、もっと照明の力を借りてよいのではないかと痛感しました。

もちろんあまりに照明が主張しすぎてしまうと、能が壊れたり、あるいは照明に頼って芸が弱くなる恐れはあります。
でもうまくつきあえば、面の表情の変化など効果は高いのでは、と。
そもそも、かつては自然光が白洲(昔は白洲の部分がもっと広かった)に反射して下から光が当たっていたわけで、現在の能楽堂のような上からの光より、下から照明を作っていたほうが本来のものに近くなります。
それにかがり火やろうそくという照明なら現在も何の問題もないわけで、技術も向上した今日、自然に近い光も作っていけるはずです。


もう1点は言葉
今までいろんな楽器と舞のコラボレーションは間近で見たり、実際に舞ったりして、確実にいけるという手ごたえはありました。
しかし謡と楽器はどこかでメロディーがかぶってしまい、どうにも違和感を持っていました。
今回、セリフと謡(伊勢物語の和歌を謡いました)での掛け合いをしましたが、意外と合うのでは?という感触がありました。
今まで音楽同士だったのでうまくかみ合わなかったものが、セリフという言葉と、謡という音楽という形でとらえると新たな世界がつくれるような気がしたのです。
そもそも古語の謡は、やはり一度聞いただけでは意味を即座に理解することは難しいので、現代語のセリフで補完できれば能の世界自体がよりわかりやすくなるかもしれません。
そうした意味で、よく音楽的といわれる(数名の方から五流で一番そうだと言われたことがあります)金春流の謡は可能性をもっているのかもしれません。
すぐにどうこうできるものではないにせよ、このことは頭のどこかに置いておいて、いずれなにかの形で使えればと思っています。


今回打ち合わせ、数か月の稽古を経ましたが、能とは違う作品の作り方はとても面白く、新鮮なものでした。
本当に大勢の方の力が集まって、舞台が少しずつ出来上がっていくというのをその輪の中で見ることができました。
でも、〝大勢の方の力〟は能でも同じこと。
いつもはそれが当たり前のようになってしまっていたなと思います。
気持ちを新たに、感謝の心を胸に、また古典の舞台のなかでしっかりと芸を磨いていきたいと思います。



  1. 2013/06/13(木) 00:37:36|
  2. 考えごと(能楽)|
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