「氷室」のツレを勤めました。
結果としてはさんざん。
舞台に出る前から小さな動揺、出てすぐの動揺を引きずってしまい、途中今まで間違えたことがないところで絶句。
今回はかなり謡い込んできたつもりなのでショックでした。
このツレ、初同以降はセリフがないのでずーっとなんでこうなってしまったのか考えていました。
いろいろ考えた結果、考えすぎではという結論に達しました。
ツレというのは基本的にシテの引き立て役。
特に「氷室」のような曲では、極端に言えばいなくても成り立ちます。
シテを引き立てよう、シテが目指す舞台の歯車になろうという気持ちが強すぎました。
「僕はまだそこまで余裕を持てるレベルではない」
そういうことなのです。
もっと自分自身のことで目一杯になっていいんじゃないかと思うのです。
そうすることでもっと舞台に集中できる、そう思います。
後半、天女ノ舞は吹っ切れて楽しく舞っていました。
終わった後師匠から注意をいただきましたが、「全体的にはよく舞っている」といっていただけました。
帰りがけ先輩方にもいろいろアドヴァイスしていただきました。
今日はわりと上手く流れに乗れたと思っていましたが、自分自身気をつけているつもりだった点が、やっぱりよくない、とご指摘をうけました。
こういっていただけるのは本当に有り難いことです。
自分で手応えを感じたときに「まだまだ」と言っていただけるのは、もう一つ高いレベルに到達するための道を作っていただいたようなものです。
そしてプロとして、せっかく言っていただいたことを本番で生かせないのは裏切り行為です。
今日は狂ったように天女ノ舞ばかり舞っていました。
この舞は極々基本的な舞です。
正直寝ぼけていたって舞うには舞えます。
でもそれだけに却って、当然の如く美しく舞わなければいけません。
昨日の指摘をかみ締めながら一回一回いとおしい想いで舞ってみました。
世界を創りたい。
ご覧なるお客さまにこれが天女なんだと思わせたい。
所詮錬金術かもしれない。
そうでないとしても僕の今の力では到底無理な話かもしれない。
でもまだ若手だから…と卑屈になることはお客さまに対してこの上ない失礼になります。
駆け出しであってもプロ意識は持っていたい。
全身全霊を振り絞って日曜日の舞台を勤めたいと思います。
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