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駆け出し能楽師の奮闘記
敷居が高いと思われがちな能楽の世界を、能とは関係のない家から飛び込んだ私・中村昌弘の奮闘を通じて少しでも身近に感じていただけたらと思います。

「氷室」終了

昨日は「氷室」の当日でした。

僕は楽屋ではぜーんぜん緊張しないのですが、幕の前に立つと急激に緊張が始まります。
今回は動悸が激しくなるとかいうことはなかったのですが、梅雨のように蒸し暑い天気もあってか、舞台上で異常なほど汗をかいてしまいました。
前ツレは直面(ひためん:能面を掛けないこと)なので、汗が目に入ると大変です。

前半が終わり中入。
男の姿から天女に前とっかえです。
時間がない!と急いで脱ごうとしていると、
「慌てるな。急いでいるときほど慌てるな」
と師匠のお父様。
装束は師匠に着けていただきました。
舞衣(まいぎぬ)という着けるのに骨が折れるものでしたが、あっという間に完了しました。
鏡の間(幕のすぐ裏にある部屋)に行くと、まだ間狂言は半分ほど。
「我ながらカンペキだな!」
と師匠がおっしゃられるほど見事なスピードでした。

後半は天女ノ舞。
一度しっかり緊張してしまったせいか、リラックスして舞えましたが、荒いところもでてしまいました。
特に袖扱い。
能では装束を着て舞うのは本番一発勝負なのです。
袖が掛からないといけないという意識からどうしても動作が強くなりがちです。
こういう点はいかに場数を踏むかということしかないんでしょうねー。

終わってから
「よくなったところもあったけど悪くなったところもあったねぇ」
と師匠。
大きな事故なく終えることができたことはよかったのですが、もう一歩上を目指したい。
「小督」の舞囃子のときには(曲調は全然違いますが)これを活かした舞台に出来るよう稽古に励んでいこうと思います。
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  1. 2006/05/08(月) 21:33:48|
  2. 舞台|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:2

  

コメント

突然ですが「はじめまして」能楽をみるのが趣味のオジさんでして、ココログに観能記などを書いています。
氷室拝見しました。
前ツレが若い男で後ツレが天女と、かなり落差があると思うのですが、うまくまとめておられるなあと感じました。他流では前後を別の演者が分けて演じることが多いように思いますが、金春流では同じ方が演じるんですね。
清経のツレ以来時々拝見していますが、ますますのご活躍、期待しています。箙の若々しい武者振り、良かったです。秋の黒塚もスケジュールが合えば拝見したいと思っています。
  1. 2006/05/11(木) 22:43:08 |
  2. URL |
  3. ZAGZAG #-
  4. [ 編集]

いらっしゃいませ!
ご訪問ありがとうございます。

「氷室」は(は、というよりいつもですが)課題が多く残ったなという感じでした。
前後1人で演じたのは、実はただ単に分けられるほど人がいなかっただけだったりします…。
金春流って人数が少ないので。。。
でもそのおかげで僕みたいなペーペーもお役がいただけるので非常にあり難いことです。

また是非ご感想をお聞かせ下さい。
  1. 2006/05/11(木) 23:36:00 |
  2. URL |
  3. 五星 #-
  4. [ 編集]

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