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「黒塚」終了 

帰宅しました。
結論から先に言いますと、結果はう~ん…といったところでした。


今朝10時過ぎに楽屋入り。
いつもは装束運搬係なのですが、今日は行きのみ免除。
早めに入っていろいろ準備と思ったのですが、作り物は能楽堂との行き違いがあったり、装束の車はお祭りのお神輿渋滞につかまってしまったとのことで本格的に準備を始めたのは11時40分くらいから。
楽屋は急にあわただしくなりました。
初番の先輩はその車に乗っていたので、着いてすぐシテという状況でしたが、まったく慌てることなく装束に着替え始めました。
「えーと最初の謡は〝げに侘び人の…〟ってこれは黒塚か」なんて冗談が言えるほど。
このあたりはやはり場数、特に特設会場などを多く体験されているので、そのあたりがものを言うのだなと差を痛感させられました。
今の僕ならこの時点で感情がコントロールできなくなっていたことでしょう。

そんなこんなで先輩の装束付けをお手伝いし、「巴」の地謡へ。
舞台に出てみると大勢のお客さまが。
心持ちいつもより落ち着きがないのが自分でもわかりました。
でも謡い始めるとだんだん取り戻し楽しく謡わせてもらいました。

ここから「黒塚」までは非番。
能楽堂に来る途中に手足や頭の後ろに軽い痺れを感じ、あぁこれは緊張しているなと思ったのですが、バタバタと仕事に追われるうちそういった感じも薄くなっていました。
しかし前の「半蔀」の序ノ舞に差し掛かりいざ着替えとなると再び緊張感が高まってきました。

一通り着付けていただき鏡の間(幕のすぐ近くの姿見がある空間)へ。
鼓動が高まるというほどではないのですが、ジリジリと重くなっていくなにかを感じます。
ここのところ舞囃子やツレを勤めさせていただいたりしていたのですが、シテは「箙」以来1年半ぶり。
自分で切符を捌いたり営業活動をしたことなどもあってか、ちょっと質の違う緊張感です。

お調べが始まり作り物の中へ。
「黒塚」は作り物に入り引廻しをかけた状態で舞台に出ます。
このパターンは初めて。
申し合わせのときもここからはやらなかったので本当にぶっつけなのです。
ただでさえ面で狭い視界に更に引廻しがかかると自分がどこにいるのかもわかりません。
暗くなった感じからここは幕の前だなと思っていると、ほどなく「はいお幕」の声。
普段幕切は自分で「おまーく」と言って幕をあげてもらうのですが、自分の意思が利かない状態で舞台へ出て行くのはなかなか不思議な感覚です。

所定の大小前へつき着座するとまず前を向いているかどうかの確認。
出る前に師匠から必ず確認するんだよと言われていたので、いろいろ手で探ってみながら正面を確認しました。

そして引廻しが下りるまでに最初のひとかたまりの謡を復習。
ところが!
どうしても出てこないところがひとつ。
何度か行きつ戻りつしているうちになんとか続くようになったのですが、明らかに違う謡に飛んでいるのです。
このときに焦りはピークに達しました。
何十回と謡っているこの謡が急に出てこなくなるというのは恐怖という以外に表現のしようがありません。
途中違和感を感じながらもなんとか通るようになったので、もうあとは口が動くに任せた!とハラを決めていざ謡い出し。
結局「なんか違う…」と思いながらもその箇所は謡い切りました。

それからはなるべくそこを気にしないようにして進めていきました。
謡いながら「少し重いかな?」と思いましたが、ここまできたら自分のやりたいようにやるしかないので贅沢に時間を使わせていただきました。

中入。
一転、鬼の装束に着替えます。
落ち着いて集中しているつもりでしたが、後の一句でそれは錯覚だということがわかりました。
勢いよく幕を出、一ノ松でワキを見込み謡い掛け。
〝いかにー…〟と声を出した瞬間驚きました。
自分でも出したことのない、高い大きな音が口から飛び出したのです。
先輩の言葉を借りれば「超音波のような音」だったそうです。
2句目からは普段の声に近くなったのですが、面の中でわがことながら思わずきょとんとしてしまうような一瞬でした。
その後は落ち着いているつもりが落ち着いていなかったようで、はっと思うところも冷静に動けた反面、何でもないところを今までやったことのないミスをしてしまったり、なんともちぐはぐな感じでした。

舞い終えたあとはすっきりしない気持ちで一杯に。
謡い掛けのところがうまく嵌らず、最後の謡であわせた感が強く出てしまいました。
別に囃子方に媚びるということではなく、後シテの最初の部分がうまくいけばもっと(語弊がありますが)囃子方を〝のせる〟ことができたのではないかと。

「能は想像力が大事です」などとよく講座で偉そうに言う割には自分自身に想像力が欠如していたのではないか、とも。
一番最初の謡い出しもそういったイメージを強くもって稽古に臨んでいればパニックは未然に防げたはずです。
最近とにかく稽古の数をこなすことで緊張感から逃れようとしていましたが、これからはもっと1回1回の質も高めていかねばならないと思い知らされました。

最後のお稽古のとき師匠から「やってみて黒塚は難しかった?」と聞かれ、思わず「時間が足りませんでした…」と答えてしまいました。
我ながら言い訳がましい微塵も可愛らしさのない答えだったのですが、素直に「難しかったです」と言うのに強い抵抗を感じたのです。
しかし今日終わったあとは「黒塚は難しかった…」と思うほかはありませんでした。
じたばたあがいてみたものの「黒塚」という枠の中でくるくると回っているだけのような、そんな感じでした。

正直悔しい。
やれることはやったけど悔しい。
「お前の力はまだ所詮この程度なのだ」と現実を突きつけられてしまったようで…。





うん…。
でも、また、がんばろ。
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コメント

生き写し。

こんばんわ。拝見させて頂きました。
ご自身で記事にも書かれていますすが、正直、聞いていて、もしかして台詞(?)忘れたのかな?とヒヤッとした箇所が在りました(^^;)
後、後シテの登場シーンのもの凄く大きな声!
あれ凄いですね。火事場の何とやらですか!??
でも、囃子が激しかったので何といっていたのか聞き取れませんでした!
でも、一番見ていて楽しかったです。
お世辞ではないです。

それと、五星さんと生き写しの女性を見所で見ました。
まさに生き写し!!!

木白山 #- | URL
2006/09/18 02:17 * edit *

終わりのない旅。

おつかれさまでした。
お能のお稽古にはやはり、終わりがないのですねぇ。
でもそこが魅力ではないかと思います!
歳を重ねれば重ねる程魅力が増すことは、一般的にはあまり言われないことですし・・・。
今後のご活躍も期待しております。

santamarico #- | URL
2006/09/18 11:48 * edit *

木白山さま
ご来場ありがとうございます。
謡のミスばれてしまいましたか…。
お客さまにわかってしまうようなミスをしてしまうようではまだまだ修行不足です。。。
コメントにもありましたとおり「黒塚」という曲はかなり得な曲です。
構成が優れているのでどうやってもそれなりには見えてしまいます。
「うわースゴイ…」お客さまをうならせる黒塚を一度は舞ってみたいものです。
ちなみに「半蔀」と重なったのは偶然です。
夕顔の君が陸奥へ下ったんだとすると…、ちょっとエグイですね。。。

生き写って母のことですね。
よく男の子は母親に似るとかっこよくなる、などといいますがあれ絶対ウソですね。
僕が証拠です(悲)


santamarico さま
「能に果て無し」とはよくいったものです。
本当に終わりなき旅、終わりなきマラソンといった感じ。
でも行き着くところまで頑張って行ってみようと思います。
有り難うございます。

五星 #lVShtGQM | URL
2006/09/18 23:35 * edit *

いけなくて残念

予告どおりブログで結果を拝見。
行けなくて無茶苦茶残念。
読んでみると、友人として観るにはとても見応えがあったように思えて、再度行けなくて残念と思ったよ。

えらい悔しかったようだけど、一体全体何が足りなかったのかな?
(もちろん、僕も足りないものだらけだが)

このブログを読んだだけだと、経験というほど域には遠いわりに、「若さ」というやつも微妙にない失われたような、そんな印象を受けたな。

過渡期なんだな。
(お互い!)

また△角で語らうか。

きし #- | URL
2006/09/19 12:09 * edit *

初コメント有り難うございます。
なんだかちょっと照れます。。。

忙しさのピークは越したので(といっても11月までにツレ×2、シテ×1があるけど)、また牛△行きましょう!

五星 #lVShtGQM | URL
2006/09/19 20:06 * edit *

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