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駆け出し能楽師の奮闘記
敷居が高いと思われがちな能楽の世界を、能とは関係のない家から飛び込んだ私・中村昌弘の奮闘を通じて少しでも身近に感じていただけたらと思います。

今年最後の大舞台

今日はついにビッグイベント! 某人間国宝の先生監修の稽古会でした。
昨日から生活サイクルを朝型にして6時半起床、8時半に国立に乗り込みました。

出席者は総勢16名。
シテ方は6名でうち金春流は4名。

僕が舞うのは「弓八幡」
舞囃子の場合神舞三段になることが多いのですが今回は五段。
五段は久しぶりなので今日までしっかり舞い込んできました。
…それでも、非公開の稽古会とはいえ出番前って本当ーに緊張します。
逃げ帰りたいような感覚とすごくワクワクするような感覚。
このギリギリな感じって実はすっごくやみつきになってしまうのです。

緊張の要素はもうひとつ。
今年6月に舞囃子「小督」を舞ったことは以前にも書きましたが、このとき今日監督される先生が偶然ご覧下さっていて褒めて下さったのです。
当日監督に見えていた宗家に、そして後日別の会のとき師匠のお父様のところへわざわざいらしていただいて。
今日はそのとき以来見ていただく機会なのです。
「見当違いだったか…」なんて思わせてしまったら本当に申し訳ない!
当然気合は入りまくります。

とりあえず大過なく終えたのですが、昼食(先生のおごりです!)休憩を兼ねて講義室にてみんなで午前中の稽古をビデオチェック。
すると…、

一歩が大きい…。

これはちょうどその「小督」を舞ったときに師匠からご注意いただいていたところなんですが、まだ体に叩き込まれていなかったようです。
神舞という速い舞になるとどうしても気が急いてしまうのでしょうが、皮肉なことに速く進もうと一歩が大きくなると逆にスピード感がなくなって動きはスローに見えてしまうのです。
これは猛省すべき点です。

ひととおり終わったあともう一度舞うチャンスをいただきました。
でも今度は能面をかけて。
(最初、先生が「ヅラつけてやってみろ」っておっしゃてたのですがヅラ=面なわけでした。この言い方は初めてききました。。。)

舞囃子で能面って普段まずやらないのでいろいろとアレ?と思うことが。
一番困ったのは大小前。
その名のとおり大鼓と小鼓の前なのですが、能のときのように床几に掛けず二人とも正座しているためワキ前から進んでいくと視界から消えていくのです。
舞は始めてから何度かはだいぶ位置が移動してしまいました。
そしてその動揺からバランスが崩れたり細かいミスが出たり。。。
最初に舞ったときの課題も頭には入れていたつもりですが、ちゃんと遂行できたかどうかは甚だ疑問…。
面を掛けようと装束を着ようとしっかりできるくらいに体に叩き込んでいかないとダメです、やっぱり。

もう一曲「融」の地謡がありました。
比較的近い曲ですが、間がややこしいのでかなり気を遣います。
地頭ではなかったもののこれもかなり謡い込んで臨みました。

ちなみにこの曲の最後の部分は追善としてよく謡われる部分です。
この光陰に誘われて月の都に入り給うよそおい
あら名残惜しの面影や 名残惜しの面影

ふっと祖父のことを思い出してしまい、急激に涙があふれそうになってしまいました…。

明日明後日と通夜告別式。
まだ亡くなってから対面していないので現実感がないのですが、一気に感情がこみ上げてきそうです…。
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  1. 2006/12/25(月) 22:31:34|
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