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駆け出し能楽師の奮闘記
敷居が高いと思われがちな能楽の世界を、能とは関係のない家から飛び込んだ私・中村昌弘の奮闘を通じて少しでも身近に感じていただけたらと思います。

世間一般では…

3連休だそうですが、僕は仕事です。

土曜日は出稽古。
手首を骨折した子が復活。
もう全然大丈夫とのことで仕舞の稽古を再開することになったのですが、さてなににしよう?
目先を変えるということで…「舟弁慶」キリ
僕も覚えがあるのですが、子方で判官をやっていると長刀を振り回す知盛の姿に憧れるものなのです。
「やる?」と聞いたら二つ返事で「やる!」とのこと。
早速、長刀持ってみたのですが、腕も足腰もまだ厳しい様子。
しばらくやってみて、「高校生くらいになったらやってみようか?」ということで本人も納得した模様。
結局「加茂」にしました。
こういう強いものってあんまりやったことがなく、構えを大きくしたらそれだけでヨロヨロ。
今は背が伸びて筋力が伴ってない時期だというせいもあると思いますが、しばらくこれでしっかりした足腰を養ってもらうことにします!


翌日曜日は定例能。
まずは「三輪」の中入お手伝い。
この曲は作り物へ中入し着替えをするので、後見2人のほかに次着る装束を渡したり脱いだ装束をまとめたりする人が必要になります。
最初この役をしたときはそれは緊張しました。
普通に幕に入ったときでも戦場になるのに、窮屈なスペースでやらないといけないのでかなりピリピリした空気に包まれます。
そのため、次に着るものでないものを渡したときなど火の出るような目で睨まれます…(舞台上なので声や手は出ませんが)。
今回は何事もなく終了。
でもいつも思うことですが、どのタイミングで帰ったらいいのかが難しいです。
目で合図してくれることもあるのですが、今回は副後見が早めに後見座に戻ったので、床几を持って出たまましばらく大小の後ろに控えていました。
これはケースバイケースなんでしょうね。

そして、トメの「小鍛冶」の地謡。
珍しく後列です。
申し合わせのときはかなり勉強不足でしたが、当日はちゃんと謡えた…と思います。地頭が師匠だったのであまり探ろうとせず思い切って行くよう心がけました。
しっかし、前列と後列ってたった1メートル弱動いただけなのにこんなにも感覚が違うのってなんででしょう???

それとひとつ正夢が。
「小鍛冶」の一畳台にしめ縄を張っているとき。
4本の竹の棒を釘で台に打ち付けるのですが、2本釘を曲げてしまい四面楚歌の大ブーイングを浴びました。。。
この程度で済んでよかったというべきでしょうか?
祖父・父と続いた会社はネジやら釘やらを作っているのですが、継がなくて正解だったんでしょうかねぇ。


そして今日も舞台。
「土蜘」の後見。
3人後見の一番下だからラクなんじゃ?なんて思ったら大間違い。
「道成寺」みたいな曲ですとハクをつけるため3人にしたりしますが、これは単に必要だから3人いるということなのでした。。。
人数物で楽屋は結構慌しくなりましたが、来年とある会でもやる予定になっています。
そのときは師匠と2人で後見。
かつ楽屋の人数も限られるので相当忙しくなるはず。
それまでに諸々のことをもう少し手際よくできるようにしておかないと。。。
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  1. 2007/09/24(月) 21:07:00|
  2. 舞台|
  3. トラックバック:1|
  4. コメント:7

  

コメント

「土蜘」を以前から観たいと思っていて、
今日念願が叶いました!見ごたえがありましたよ。蜘蛛の糸を放つのは難しそうに見えましたが、キレイにパーっと開いていて、とても印象的でした。皆さんの気迫が伝わってくる良い舞台でした。
  1. 2007/09/24(月) 21:36:33 |
  2. URL |
  3. くみこ #-
  4. [ 編集]

ご来場いただき有り難うございました。
前場は楽屋でバタバタしていて見られず、後場は後見座にいたためキョロキョロできず目の端で追うことしかできませんでした(涙)
でも、そういったご感想をいただきますと舞台に立った一人としてとても嬉しいです!
またお越し下さいね。
  1. 2007/09/24(月) 22:09:14 |
  2. URL |
  3. 五星 #lVShtGQM
  4. [ 編集]

土蜘は土蜘蛛のこと?

蜘蛛の糸は意外と高価だ!と聞いたことがあります。
見所まで飛んできたものを記念に貰って帰って、今も大事にとってあります笑。

ところで、能楽師の方にとってお弟子さんとはどんな感覚なのでしょうか?
五星様は塾の先生をやっておられたとのことですが、生徒と同じような感じですか??
それとも、お得意様とかお客様とかですかねぇ。

この2連休、わたしも仕事の悪夢にうなされました笑。
人の心配する前に自分の心配をしなさいと言われているのでしょう・・・反省。
  1. 2007/09/24(月) 22:45:51 |
  2. URL |
  3. santamarico #-
  4. [ 編集]

くみこ様:santamarico様:

実物を使っての練習にもかかわらず、60点の出来、それでも喜んでくださった方がいらして、ほっとしました。金春流では「土蜘」と書きます。今まで私は千円足らずの軽い蜘蛛の巣を使っていたのですが、今回は買いに行く暇が無くて、家にたくさん残っていた1500円あまりの、大きい、重たい物を投げる事になり、自宅で6発も練習して(9000円消費)本番に臨んだのですが、「結果がすべて」です。来年2月2日、土曜日、国立能楽堂主催の「若手能」のシテに、今日『道成寺』のシテの稽古の序でに、私の不満足な結果の原因を話し、リハーサルを本番に近い形で遣らせていただくための能楽堂との交渉とか、後輩が能楽関係のお店にいるんだから色々相談して大小いろいろ試しに買って投げてみて、自分の体力に応じた使いやすい大きさの物を決めて、一発千円でも千五百円でも惜しみなく、ふんだんに投げる練習をして、リハーサル・本番に臨み、後悔せぬように言い含めました。
  1. 2007/09/26(水) 00:00:09 |
  2. URL |
  3. 金春安明 #lRLProEs
  4. [ 編集]

お弟子さんについてですが、これは個々のお弟子さんによって違うので一概には言えませんが、塾の生徒とは一番感覚が遠いかなと思います。

キャリアの長いお弟子さんは僕にはない物を確実にもっていらっしゃる方がいます。
技術云々ではなく雰囲気というか風格というかそういった類のなにかを。
子供たちももう取り戻すことの出来ない華とか瑞々しさを。
そういったものに接することは、僕自身自分を見つめなおすいい機会になっています。
お稽古をされてて悪戦苦闘されている方も、何故上手く行かないかを考えているうちに僕自身のなかでいろんな理論が構築されてきたり、あるいは自分の欠点がそのまま反映されていたりして、自分を成長させるのには非常に有り難い存在です。

もちろんお月謝をいただいてそれで生活をしているので、お客さま的な部分があるのも確かですがそれだけではない存在であることは上で述べたように確かです。

ちなみに師匠やある囃子方の先生は僕がお稽古に伺ってご挨拶すると「よろしくお願いします」とか「ありがとう」と必ず返して下さいます。
こういう心構えこそ盗まなくてはいけない部分なのでしょうね。
  1. 2007/09/27(木) 23:52:45 |
  2. URL |
  3. 五星 #lVShtGQM
  4. [ 編集]

ありがとうございます。
「お能」という世界は、わたしが今いる世界のルールが、すべてではないことを教えてくれます。
今後もいろいろ教えていただきたいです。
よろしくお願いいたします。
  1. 2007/09/29(土) 02:13:32 |
  2. URL |
  3. santamarico #-
  4. [ 編集]

素朴な疑問を投げかけていただけると、僕も今まで何も考えていなかったことを見つめなおすいいきっかけになります。
こちらこそ、宜しくお願いします。
  1. 2007/10/01(月) 12:08:40 |
  2. URL |
  3. 五星 #lVShtGQM
  4. [ 編集]

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  1. 2007/10/07(日) 05:15:05 |
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