4日間9公演。
観に来てくれた中学生・高校生の心の中に何かが残っていてくれていれば嬉しいです。
昨日の楽屋で訃報を知りました。
聞いた瞬間は耳を疑い、舞台ではさすがに切り替えましたが、帰り道はまた思い出されて悲しくなってしまいました。
流儀も違いますし、楽屋でのご挨拶以外に直接ご本人とお話させていただいたこともないのですが、確実に近い将来の能楽界を背負われる方だという意識が、そのお名前にありました。
昨年末、子供が生まれる前日、亡くなられた師のお父様とお話しさせていただく機会があり、近く子供が生まれるのですが、どのように育てたらよいでしょうかと伺うと、
「地獄を見せることです。これ以上に苦しいことがないというくらいの体験をすればあとは楽です」
と。
苛烈を極める稽古を積んでこられてこそ、今の師があったことは間違いありません。
昨年、研鑽会の申し合わせで僕が「高砂」を舞っているとき、幕のところに座って見ておられました。
僕のような無名のぺーぺーの者を最初から最後まで熱心に見て下さっていて、とても嬉しかったのをよく覚えています。
最後に師の舞台を拝見したのが舞囃子「弱法師」でした。
来週、流儀の研究会で、家元からその「弱法師」のお役ををつけていただいています。
明らかに今の僕の力では歯が立たない曲ではありますが、気魄だけは拝見した舞台に負けないよう、今の自分の目一杯のものをやってみたいと思います。
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